カザフスタン、中国国境ドスティクにドライポート建設へ

(カザフスタン、中国)

タシケント発

2022年05月06日

カザフスタン・アルマトイ州のカナト・ボズンバエフ知事は4月22日、ダル・レールインフラストラクチャーとの間で鉄道貨物の積み替えを行うドライポート(注1)建設投資に関する相互協力覚書を締結した(アルマトイ州政府ウェブサイト)。

ダル・レールインフラストラクチャーは、2016年に設立されたカザフスタンの民間鉄道貨物運輸会社で、主に鉱業や冶金(やきん)業製品の貨物輸送を手掛けているダル・レール傘下の企業。今回の投資は、中国との国境で増え続ける貨物輸送量に対応するため、カザフスタン側国境地点のドスティクの処理能力向上を期して行われる。投資規模は290億テンゲ(約81億2,000万円、1テンゲ=約0.28円)。ターミナルの処理能力は年間30万TEU(20フィートコンテナ換算)、重さにして900万トン相当で、230人の新規雇用が創出される予定。

カザフスタン東部にあるアルマトイ州は中国の新疆ウイグル自治区と国境を接し、ドスティク(北側、中国側はアラシャンコウ)とアルティンコリ(南側、中国側はホルゴス)の2カ所の鉄道輸送中継点がある。アルティンコリにはドライポート「ホルゴス・ゲートウェイ」が稼働しており、主に中国発コンテナ貨物の検査と積み替え作業が行なわれている(2020年1月31日記事参照)。一方のドスティクは、中国向けの貨物を中心に扱っており、鉱物資源などのカザフスタンの輸出商品のほとんどが通過する。ドスティクに建設されるターミナルではオープントップコンテナ(注2)の利用が想定されている。

州政府は物流が地域の産業発展に重要な役割を果たすとみており、同社が地域社会の発展に積極的に参加することを期待している。

(注1)内陸の積み替えターミナル。中国とカザフスタンの軌道幅が異なるため、ここで狭軌と広軌の貨車に乗せ換える。

(注2)コンテナの屋根部分を開放できるコンテナ。ロシア・中国間では既に石炭の輸送で実用化されている。

(増島繁延)

(カザフスタン、中国)

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