アルゼンチン政府が遺伝子組換え小麦の国内販売を許可、国内から批判の声も

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2022年05月30日

アルゼンチン農牧水産省は5月12日、決議第27/2022号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公布し、農業バイオテクノロジー企業ビオセレス、アルゼンチン国家科学技術研究会議(CONICET)と国立リトラル大学が共同で開発した遺伝子組換え小麦「HB4小麦」の種子、関連製品および副産物の国内販売を承認した。

HB4小麦は、乾燥に対する耐性と除草剤であるグルホシネート・アンモニウムに対する耐性の2つの特徴を持つ。2021年11月に、ブラジルの国家バイオ安全技術委員会(CTNBio)が、HB4小麦から製造された小麦粉の輸入を許可した(2021年11月25日記事参照)ことから、国内での商業化も承認した、とアルゼンチン農牧水産省は説明している。

ビオセレスによれば、ブラジルのほかに、2022年に入ってコロンビア、ニュージーランド、オーストラリアもHB4小麦とその関連食品の販売を承認した(5月7日付同社公式ツイッター)。ビオセレスはまた、「政府の決定を歓迎するが、商業化については、まだ分析段階にある。現状では、ビオセレスの管理下で、特定の生産者と連携して遺伝子組換え小麦の栽培を実施していく」と説明した(5月12日付現地紙「ラ・ナシオン」電子版)。ビオセレスは、これまでに約5万5,000ヘクタールの農地でHB4小麦を試験的に栽培してきているが、国内市場では販売していない。

アルゼンチン植物油産業会議所・穀物輸出センター(CIARA-CEC)は、「(アルゼンチン産小麦を)購入する多くの国ではHB4小麦は受け入れられていない。この決定は、大きなリスク生み出している。市場の損失など経済的な影響が生じれば、農牧水産省と(HB4小麦を)開発した企業の責任だ」とツイッターの公式アカウント(2022年5月12日付)通じて政府の発表を批判した。

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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