エチオピア政府、官民連携の太陽光発電計画を撤回

(エチオピア、サウジアラビア)

アディスアベバ発

2022年05月23日

エチオピア政府は、当地で初めての官民連携(PPP)プロジェクトだった2件の太陽光発電計画について、事業に進捗がみられないことを理由に契約を取り消した。当地報道(「リポーター」紙2022年5月14日付報道)が伝えたところによると、プロジェクト規模は3億ドルだった。

この太陽光発電計画は、国際金融公社(世界銀行グループ)が開発途上国で巨大ソーラー発電の普及を図るプログラム(Scaling Solar)の支援を受けたもの。サウジアラビアのアクア・パワー(ACWA Power)が2019年にエチオピア発電公社(EEP)との間に締結した契約は、ソマリ州とアファール州にそれぞれ125メガワット(MW)の施設を建設し、EEPに20年間、キロワット時当たり2.526米セントで販売するものだった。あまりに安い売電価格から、かねて経済性が疑問視されていた。この売電価格は、アフリカ大陸で最低水準だったもようだ(注)。

報道によると、アクア・パワーは、ティグライ州に端を発した紛争などを理由に建設開始時期の延長を求め、エチオピア政府もそれを認めたものの、再度の延長は認められなかった。エチオピア政府は、官民連携プロジェクトの一部に兌換(だかん)保証する方針を打ち出していた(2022年2月21日記事参照)。官民連携プロジェクトの進展が期待されたものの、最初の計画がとん挫する格好となった。

(注)国際協力機構(JICA)(2022年)「エチオピア国インフラ分野官民連携にかかる情報収集・確認調査」44ページ参照。同報告書によれば、エチオピアの総電力コストは約9米セント/キロワット時。メガソーラーの均等化発電原価の世界平均は6米セント/キロワット時。

(関隆夫)

(エチオピア、サウジアラビア)

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