ジェトロ、インドのスマートシティーミッションに関するセミナー開催

(インド)

ニューデリー発

2022年05月02日

インドのスマートシティー構想とは、都市部へ集中する人口の受け皿となるスマートシティーを国内100カ所に設け、快適で持続可能な環境を住民に提供することを促進し、先行事例とすることで、中長期的には国内各地で快適な街づくりが進むことを目指すものだ。政府は2014年6月に「スマートシティーミッション外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表して以降、ミッション推進を後押ししており、現在100の都市がスマートシティーの認定を受けている。

認定を受けた100の都市では現在、電気水道や都市交通、公衆衛生など各種インフラ事業の入札・施工が行われており、国内外の多く企業がプロジェクトに参画している。ジェトロはこうした機を捉え、進行するスマートシティー構想の実態や日系企業の参画可能性などをテーマとしたウェビナーを4月7日に開催した。セミナーでは、KPMGインディアサービスのパートナーの太田聖児氏が、ジェトロが2022年3月に発表した調査報告書の要点を解説したほか、実際にインドのスマートシティーに参画しているNECインディア経営企画部長の高山和之氏が同社の取り組みについて紹介した。

インドのスマートシティーの概要や特徴について、太田氏によると、スマートシティーに係るプロジェクト数は当初予定の5,151件を大きく上回る5,956件(うち完了2,734件、実行中2,580件、入札中642件、2021年6月時点)あるが、今後数年間でさらにプロジェクト数が増加する可能性も見込まれるため、日系企業による新規の参入機会も十分にあると考えられるという。参入に当たっては、単独のほか合弁企業(JV)やコンソーシアムでの参入、サブコントラクターとしての参入などが挙げられ、また、対象プロジェクトの選定や主要ステークホルダーとの関係構築、技術力や実績のデモンストレーション、外資企業や有力地元企業とのパートナーシップなどが重要だと述べた。

高山氏は、5都市で展開しているNECインディアにおけるスマートシティーミッションへの参画事例を紹介した。同社は主に情報通信技術(ICT)分野のマスターシステムインテグレータ-として参画し、スマートシティーの管理、データ連携のためのアプリ開発などに携わっているという。また。講演の中で、スマートシティーのプロジェクトへの参画は長期的なビジネスチャンスの拡大を見据えたものであり、今後は日本とインドの経済協力に連動したビジネスの推進や、現地企業とのさらなる連携強化などにも注力しながら、引き続きインド社会に貢献し得るビジネスを行っていきたいと述べた。

(高際晃平)

(インド)

ビジネス短信 495997634c0b1011