ハンガリーの2021年の日用消費財オンライン市場は前年比53.7%の大幅拡大

(ハンガリー)

ブダペスト発

2022年05月17日

市場調査会社GKID(旧ゲーカーイ・デジタル)が5月5日に発表した調査結果外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、2021年のハンガリーの日用消費財(FMCG)分野におけるオンラインでの純売上高は前年比53.7%増の1,180億フォリント(約424億8,000万円、1フォリント=約0.36円)だった。分野別でみると、FMCG分野はオンライン小売業で最も急成長していた。また、同分野のオンライン市場で最大のプレーヤーは、英国に本拠を置くテスコだった。

ハンガリーで事業展開している全分野のオンライン小売業者の2021年の純売上高上位15社(添付資料表1参照)をみると、最も大きな伸びを示したのはチェコ資本のオンライン食料品店キフリ(Kifli)だった。2020年の12位から2021年には6位まで順位を上げた。オンライン小売業者上位15社の純売上高は合計5,200億フォリントを超え、オンライン小売市場全体の43%を占めた。

また、ゲーカーイ・デジタルと価格比較サイトのアールケレシューが3月24日に発表した調査結果外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、2021年のハンガリー全体のオンライン小売りの純売上高は前年比32.4%増の1兆2,030億フォリントだった。2020年の45.4%増から成長ペースは鈍化したが、それでも新型コロナ流行前の2倍のペースで市場は拡大した(添付資料図参照)。2021年のハンガリーの小売総売上高に占めるオンライン販売の割合は10.4%だった。オンラインショッピング利用者は、より頻繁に、より多様なものを購入するようになってきている。オンライン小売りの売上高で最も多いのは電化製品で、衣類、玩具・ギフト、FMCG製品、IT製品がそれに続く(添付資料表2参照)。1人当たりの年間注文頻度も、新型コロナ流行前の年では12~13回だったものが2021年末には19~20回に増加した。全体として、「新型コロナ禍」の状況として、人々の買い物習慣に関しては、オンライン小売業に対して有利に変化していた。アールケレシューのマネージングディレクターであるラーツ・シャバ氏は、上述の調査結果について「オンラインショッピングは今やずっと自然に、つまりより日常的になっている」と結論づけた。

前述のGKIDの調査によると、電子商取引の発展に伴い、ハンガリー市場における外資系企業の優位性は年々高まってきている。中・東欧地域では、ドイツ、チェコ、ルーマニアの電子商取引業者も、ハンガリーを戦略的に重要な市場として位置づけている。近隣諸国から来た有名企業は、より発展した市場環境から来ることが多く、ハンガリー市場で成功することは容易だ。一方、同調査は「外国トレーダーの拡大は、衣料、ファッション、美容分野で最も顕著だ。しかし実際には、これらの業者はハンガリーでの事業もハンガリー法人も持っておらず、ハンガリー市場ではパートナーにしか代理権がないことが多い」とした。

(バラジ・ラウラ)

(ハンガリー)

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