ディディフードがバルパライソで営業開始

(チリ)

サンティアゴ発

2022年05月09日

中国の配車サービス大手「滴滴出行(DiDi、以下、滴滴)」のグループ会社であるディディフードチリ(DiDi Food Chile)は4月26日、自社フェイスブックページ上で、チリ中部のバルパライソ州内での営業(フードデリバリーサービス)の開始を発表した。2019年6月に滴滴がチリ国内で配車サービスを開始した際にも同州が起点となっていた(2019年6月18日記事参照)ことから、首都圏州に次ぐ第二の都市であるバルパライソを、チリへの同社サービスの導入にあたっての戦略的な拠点として位置づけていることがうかがえる。

4月26日付「ディアリオ・フィナンシエロ(El Diario Financiero)」紙のインタビューに対して、ディディフードで新規市場への進出案件を統括するダニエル・セラ氏は、同業他社と比較した際に、最安値が450ペソ程度(約68円、1ペソ=約0.15円)という送料の安さを自社の強みとして挙げている。併せて、新規ユーザーの獲得のためのマーケティング費用として、サービスの開始時期に100万ドルの予算を投じることで、製品や送料の大規模な割引キャンペーンを実施する営業戦略についても言及している。

写真 アプリ内で告知されている割引キャンペーン(ジェトロ撮影)

アプリ内で告知されている割引キャンペーン(ジェトロ撮影)

「新型コロナ禍」の巣ごもり需要を追い風に、右肩上がりの状況が続いてきたフードデリバリー産業だが、同時にライバル企業同士の競争も激化の一途をたどっている。チリに先行して世界の6カ国へ進出しているディディフードだが、うち日本市場からは2022年の5月をもって撤退する旨が4月20日に発表されたばかりだ。

チリにおける同産業の市場には、既にウーバーイーツ(Uber Eats)をはじめ、コロンビア発のラッピ(Rappi)やウルグアイ発のペディードスジャ(PedidosYa)らが進出し、しのぎを削っている。深刻化する国内のインフレに逆行し、低価格なサービス提供を売りにすることで、ディディフードが彼らに比肩するプレーヤーとなれるのか、注目が集まる。

(佐藤竣平)

(チリ)

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