英国、メキシコとの新たなFTA締結に向け交渉開始
(英国、メキシコ)
ロンドン発
2022年05月24日
英国政府は5月20日、メキシコとの新たな自由貿易協定(FTA)の締結に向けた交渉を開始することを発表するとともに、交渉方針
を公開した。
現在、英国とメキシコとの間では、EUから継承し2021年6月に発効した「継続協定」がある。2021年の両国の貿易総額(財、サービス)は42億ポンド(約6,720億円、1ポンド=約160円)で、このうち対メキシコ輸出は21億ポンド、メキシコからの輸入は21億ポンドだった。歳入関税庁による財の貿易額上位品目を見ると、対メキシコ輸出はウイスキーなどの「飲料」「医薬品」「道路走行車両」の順で多く、メキシコからの輸入は非貨幣用金などの「未分類のその他製品」「通信・音響機器」「道路走行車両」の順で多い。また、同年、メキシコが英国の貿易額(財、サービス)に占める割合は0.3%と大きくはないが、英国政府としてはこのFTA締結を環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)の交渉の足掛かりにしたい考えだ。
政府によると、メキシコは人口が増加しており、輸入需要が2035年までに35%増加することが予想されている。これを踏まえ、英国が強みを持つ金融、クリエーティブ、デジタルおよびテクノロジーサービス分野での貿易を拡大し、サービス産業を後押しする狙いだ。
また、政府は、中小企業章を設け、分野ごとの障壁を撤廃し、輸出を目指す中小企業のコストと事務処理を削減するとした。さらに、財やサービスのオンライン売買や製品規格の認証プロセスをより円滑にし、英国企業のより急速な拡大と雇用支援を目指す。なお、現行の協定でメキシコ側の輸入関税撤廃を確保している英国産品については無税を維持するとしている。
また、労働者がより容易に2国間を移動できるようにするほか、メキシコの地方政府による調達への英国企業の参加を可能にし、インフラやビジネスサービスといった主要産業を支援することを目指すとしている。
同日、英政府のアン・マリー・トレビリアン国際通商相とメキシコのタチアナ・クルティエール・カリージョ経済相がロンドンで会合し、共同声明も発表した。この中で、交渉の第1ラウンドは7月にメキシコシティで行い、2年以内の締結を目指す方針を示した。
(宮口祐貴)
(英国、メキシコ)
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