政府がオープン・ラン機器開発の原則発表

(英国)

ロンドン発

2022年05月09日

英国政府は4月29日、通信事業者が複数の販売業者の機器やシステムを組み合わせて使用することを可能にする新しいタイプの通信機器「オープン・ラン(Open RAN)」機器の開発と導入に関する一連の原則外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

背景として、標準規格の採用やコンポーネント間の相互運用性の実証など、オープン・ランの設計特性を明確にする必要性について言及、同原則について、第5世代移動通信システム(5G)以降の強靭(きょうじん)で安全なネットワークと、革新的で競争力のある長期的なサプライチェーンの構築を確実に実現するものと説明した。政府はさらに、同原則について、オープン・ランの研究開発への今後の投資が納税者に資するものに焦点を絞ることを目的とし、英国で開発・展開されるオープン・ラン技術が英国市民と企業の利益にかなうよう産業界に指針を示すものとした。

同原則のポイントは以下のとおり。

  1. オープンな分割:無線アクセスネットワーク(RAN)の要素を異なるサプライヤーから調達し、新しい方法で実装することを可能にする。
  2. 標準規格に基づくコンプライアンス:全てのサプライヤーがオープンで中立的な環境で、標準規格に対するソリューションをテストできるようにする。
  3. 相互運用性の実証:分割された要素が完全に機能するシステムとして、少なくとも現在のソリューションの性能とセキュリティーに匹敵することを保証する。
  4. 実装の中立性:サプライヤーは製品の機能と性能で革新と差別化を図ることができる。

英通信事業者ボーダフォン(Vodafone)のスコットペティ・デジタル・IT最高責任者は同原則の発表に対し、「ボーダフォンは、長期的なネットワークの進化と回復力の中心的となるオープン・ランの開発と展開で主導的な役割を担っている。この革新的な技術に対する政府の継続的なコミットメントを歓迎し、より広い通信エコシステム全体でオープン・ランの採用を加速させることを楽しみにしている」とコメントした。

なお、政府は2021年12月、英国のモバイルネットワーク事業者と共同で2030年までに国内のモバイルネットワーク通信の35%をオープン・ラン経由にする目標を掲げ、5,000万ポンド(約80億5,000万円、1ポンド=約161円)超を拠出することを発表している(2021年12月15日記事参照)。

(宮口祐貴)

(英国)

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