海外からの訪問者数に回復の兆し、入国制限緩和を受け

(ベトナム)

ハノイ発

2022年05月13日

ベトナム統計総局によると、4月の海外からベトナムへの訪問者数(推定)は、前月の2倍以上の10万1,373人だった。新型コロナウイルス流行前の水準(月間150万人)には遠く及ばないが、入国制限の緩和を受け、出張者や観光客が戻り始めている。

ベトナムは2019年に年間1,800万人の外客を受け入れた観光立国だ。しかし、新型コロナウイルス感染対策として2020年3月より入国制限を実施。海外からの観光客を2年近く受け入れていなかったため、2021年の訪問者数は年間16万人弱まで低迷した。2022年1月からは入国制限の緩和を進め、3月15日に入国後の隔離措置を撤廃したため(2022年3月18日記事参照)、訪問者数は徐々に回復に向かっている(添付資料図参照)。

3月はベトナム国内での新型コロナウイルス感染者数が過去最高水準となったが、4月以降は減少傾向にあることもプラスに働いた(注)。複数の日系企業へのヒアリングによると、シンガポールなどの近隣諸国や日本からの出張者が増えているという。

4月の訪問者数を国別にみると、上位は韓国1万4,025人、米国1万2,998人、カンボジア8,316人、中国7,623人だった。中国は新型コロナウイルス流行前の2019年は訪問者が最も多い国だったが、直近のゼロコロナ政策の影響もあり、訪問者数が伸び悩んでいる。日本からの訪問者は前月の2.4倍となったが、4,258人にとどまっている。ベトナムから日本に入国する際の水際対策外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが4月29日に緩和されたため、日本とベトナム間の往来の活発化が期待される。

観光産業の回復はスローペース

ベトナムの観光サービス売上高は、新型コロナウイルス流行前の2019年には月間4兆ドン(約228億円、1ドン=約0.0057円)弱だったが、2021年は月間5,500億ドン程に低迷した。2022年4月は前月比22.7%増の1兆2,410億ドンとなったが、ベトナム人による国内旅行が盛んだった2021年1月の売上高にも届かず、わずかな伸びにとどまった。

写真 ハノイ市内の外国人観光客の一団(5月1日、ジェトロ撮影)

ハノイ市内の外国人観光客の一団(5月1日、ジェトロ撮影)

(注)5月9日時点で、直近1週間の新規感染者数は1日当たり平均3,000人台で推移。

(庄浩充)

(ベトナム)

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