米国入国前の新型コロナ感染検査要件、半数以上が「渡航先として選択する可能性が低下」と回答、米調査会社

(米国)

米州課

2022年05月19日

米国調査会社のモーニング・コンサルタントは5月12日、米国政府が米国への入国者に対して自国出国前に義務付けている、新型コロナ感染についての検査要件(2022年5月6日記事参照)は、米国外の居住者が渡航先として米国を選択する可能性を低下させているとの世論調査結果外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(注)を発表した。

本調査によれば、出国前検査で陽性反応となるリスクがあることで、米国を旅行先として選択する可能性が低くなったと回答した人は57%となり、全体の約6割に上った。一方、ワクチン接種完了者の出国前検査義務が解除された場合に、米国を訪れる可能性が高くなると考えている人は46%だった。出国前の検査要件は渡航先選択に影響を与えないとする人は42%で、米国に渡航する可能性が低くなるとする人は12%となった。

また、新型コロナウイルスのパンデミックに伴う旅行制限や健康上の懸念から、逃してきた旅行経験を取り戻す必要があると考えている人は70%に上ったほか、入国要件のない国への旅行を優先することに同意する人は71%に達した。

米国旅行協会(USTA)のロジャー・ダウ会長兼最高経営責任者(CEO)は「出国前の検査要件は、訪米旅行者を取り戻し、観光収入を獲得するのに不必要なハードルだ」と指摘した上で、「他の国々が検査要件を撤廃し、観光産業の再建に乗り出している一方で、米国は競争上不利な状況にあり、パンデミック以前のレベルまで回復するのに長い時間がかかるリスクがある」と述べた。

USTAは本調査結果を受け、バイデン政権に対して、米国経済にとって重要な観光産業の回復のために、ワクチンを接種済みの旅行者に対する出国前の検査要件を速やかに廃止するよう要請するとしている。

また、ピート・ブティジェッジ運輸長官はメディアの取材に対し、出国前の検査要件は「永遠に存在するとは思わない」と述べた上で、「要件を解除するには、米国疾病予防管理センター(CDC)が解除によって状況が悪化しないことを確信する必要がある」と発言した(「クレインズ・シカゴ・ビジネス」5月12日)。

(注)調査は、2022年5月3~4日にオンラインで実施された。対象者は、ワクチン接種済みまたは接種予定で、直近5カ年以内に海外旅行経験のあるフランス、ドイツ、英国、韓国、日本、インドに居住する成人1,801人。

(葛西泰介)

(米国)

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