米小売り各社の第1四半期決算は振るわず、燃料価格高騰や物流混乱で低調

(米国)

ニューヨーク発

2022年05月26日

米国の大手小売り会社の直近の四半期決算が発表された。各社とも、新型コロナウイルスやウクライナ侵攻の影響による燃料価格の高騰やサプライチェーン混乱の長期化などが利益を圧迫した。

米国小売り大手ウォルマートは5月17日、2022年2~4月期決算を発表し、純利益は前年同期比24.8%減の20億5,400万ドル、営業利益は23.0%減の53億1,800万ドルといずれも急減した。燃料価格の高騰や人件費の上昇、在庫水準の積み増しなどが重荷となった。同社のダグ・マクミロン最高経営責任者(CEO)は「最終損益は予想外の結果となり、異常な環境を反映したもの」だとした。「米国のインフレ水準、特に食品や燃料は、マージンミックス(相乗積管理)と運営費に予想以上のプレッシャーを与えた」と指摘(「バロンズ」誌5月17日)。さらに、新型コロナの感染拡大に備えた一時的な採用増で人員過剰となったほか、商品入荷遅延による在庫切れなども影響した。収益ベースで世界最大の小売業者であるウォルマートは、米国の消費者がインフレをどう乗り切っているかを知る手掛かりとして、投資家やエコノミストなどから大いに注目されている。

また、小売り大手ターゲットが5月18日に発表した2022年2~4月期決算は、純利益が前年同期比51.9%の10億900万ドルと半減し、サプライチェーン混乱や燃料費高騰が同社の利益を圧迫した。低調な内容となった四半期決算の結果を受けて、同社の株価は約25%急落し、1日の下落率としては1987年以来の大幅な減少を記録。パンデミックによる航路の混乱やウクライナ危機により、企業のコストは高止まりしており、同社の2022年度のコストは従来予想よりも10億ドル増加する見通しだとした。幹部らは、サプライチェーンの苦境は少なくとも2023年まで続くと述べている。一方、既存店売上高は3.4%増となり、テレビや自転車などの売り上げは振るわなかったものの、消費者はレストランのギフトカードや旅行費用に支出を充て、物品よりも体験型のサービスにシフトする傾向がみられた。

米証券会社キャンター・フィッツジェラルドの株式デリバティブ・クロス資産プロダクト担当責任者、エリック・ジョンストン氏は「ウォルマートとターゲットの数字は、企業のマージンがコロナ前の水準に戻る一方で、消費者が裁量的な購入を減らしていることを示している」との懸念を指摘した。

大手小売り2社の業績不振を受け、個人消費者がどの程度落ち込んでいるかを判断する材料として、今後は米国百貨店のメイシーズやノードストロームなど複数の企業の決算報告が注目される。直近4月の米小売売上高は前月比0.9%増(2022年5月18日記事参照)で、自動車や無店舗小売りは好調だったが、小売売上高はインフレ調整されていないため、物価高で押し上げられた可能性もある。

(樫葉さくら)

(米国)

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