ASEAN保健相会合、新型コロナワクチン接種証明書の相互承認で合意

(ASEAN)

ジャカルタ発

2022年05月24日

ASEAN保健相会合が5月14日、インドネシア・バリ島で開催され、ASEAN加盟国間で新型コロナウイルスワクチンの接種証明書を相互承認することで合意し、共同声明PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を採択した。相互承認が実施されることで、ASEAN域内の人の往来がさらに円滑化することが期待される。

ASEANは2020年11月、「ASEAN包括的復興枠組みPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」(ACRF、2021年5月26日付地域・分析レポート参照)を採択し、域内経済を「新型コロナ禍」以前の水準に戻すことを目指している。特に、相互入国制限緩和措置の「ASEANトラベル・コリドー」(注)を導入し、域内の人の往来を活発化させ、観光業を含めた経済回復を後押しする。今回の合意はこれらの取り組みの一環となる。

今後は、新型コロナウイルス証明書の電子文書に関する世界保健機関(WHO)のガイドライン外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに基づき、ASEAN加盟国間で新型コロナワクチン証明書の相互承認に関する協力関係を確立していく。偽造を防ぐため、証明書にはデジタル署名された安全なQRコードを付ける予定だ。一方で、相互認証のプロセスでは、出入国や健康面でのプロトコルに関する各国の法規制のほか、個人情報保護も尊重されるとしている(シンガポール保健省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。また、この取り組みへのASEAN加盟国の参加は義務ではなく、あくまで各国の自主性に任せられる。

インドネシアのブディ・グナディ・サディキン保健相は相互承認の一例として「インドネシアの新型コロナウイルス感染の検査・ワクチン接種管理用アプリ『プドゥリリンドゥンギ』と、シンガポールの感染者追跡アプリ『トレーストゥゲザー』の相互接続が可能になる」と説明した。さらに同保健相は「G20の加盟国とも協力を予定している」と語った(インドネシア保健省ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

(注)2021年10月26日に発表されたASEAN首脳会合の議長声明PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)では、「ASEANトラベル・コリドー調整枠組み(ATCAF)の採択を歓迎するとともに、早期の実行を期待する」と記載されている。

(上野渉)

(ASEAN)

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