2022年第1四半期の貿易、金の輸出とエネルギー輸入が増大

(タイ)

バンコク発

2022年05月12日

タイ商務省は4月26日、2022年第1四半期(1~3月)の貿易統計を公表した。タイの貿易総額は前年同期比16.7%増の1,481億4,700万ドルと増加した(添付資料表1参照)。輸出総額は14.9%増の736億100万ドル、輸入総額は18.4%増の745億4,500万ドルと、輸出入とも2桁増になった。貿易収支は9億4,400万ドルの赤字で、2四半期ぶりに再び輸入超過となった。

輸出では、自動車・同部品が前年同期比11.4%減の70億6,500万ドルと落ち込んだが、宝石・宝飾品は55億500万ドルと約3倍になった(添付資料表2参照)。エチレンポリマー、化学製品、電子集積回路、機械・同部品も好調だった。

宝石・宝飾品の輸出は、未加工の金が35億8,900万ドルと65.2%を占める。同品目の輸出先は、スイスが59.6%、シンガポールが24.6%だ。特に、ウクライナ危機後の2022年3月に大幅に増加している。新型コロナウイルス感染が拡大した2020年上期にも、タイでは金をスイスやシンガポールに売却し、現金化する動きがみられた。当期も、有事により金価格が高騰し、売却が活発化したとみられる。

輸入では、原油が前年同期比86.2%増の87億6,800万ドルと大幅に拡大した(添付資料表3参照)。原油の輸入相手国は、アラブ首長国連邦(UAE)が約3.6倍の31億5,000万ドル(構成比:35.9%)、サウジアラビアが9.8%増の10億9,000万ドル(12.4%)、マレーシアが4.0倍の6億700万ドル(6.9%)の順だった。以前は主要な原油輸入先だったロシアは、45.9%減の1億900万ドルと15位に後退した。

天然ガスも約3.6倍の29億4,600万ドルと増えた。同品目の輸入先は、前年同期にほとんど輸入実績がなかったオーストラリアが首位で、7億500万ドルとなった。続いて、カタールが約2.5倍の6億2,600万ドル。3位のミャンマーも45.3%増の5億2,100万ドルに増えた。

ロシアやウクライナとの貿易は縮小

国・地域別でみると、ロシアとの貿易総額は前年同期比16.5%減の5億6,400万ドル、ウクライナは38.2%減の5,300万ドルと、それぞれ減少した。ただし、タイの貿易総額に占めるロシアの構成比は0.38%、ウクライナは0.04%で、直接的な影響は限定的だ。

主な輸出先では、ASEAN向けが前年同期比17.0%増の179億700万ドルと伸びた(添付資料表4参照)。シンガポールが56.3%増の26億8,400万ドルと大幅に拡大した。インドネシアへの輸出も38.1%増の28億200万ドルと増加しており、特に同国向けの砂糖が約6.0倍の4億1,700万ドルと増加した。

輸入では、産油国からの輸入が拡大しているが、最大の輸入相手である中国は前年同期比19.2%増の176億900万ドルと好調だった(添付資料表5参照)。日本は0.6%増の89億8,800万ドルと横ばいになった。

(北見創)

(タイ)

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