中国のセムコープ、米オハイオ州でEVバッテリー部品の工場設立を発表

(米国、中国)

シカゴ発

2022年05月12日

中国のセムコープ・アドバンスト・マテリアルズ・グループは5月5日、米国オハイオ州シドニー市で製造工場を設立すると発表した。9億1,600万ドルを投資し、工場の面積は約85万平方フィート(約7万9,000平方メートル)で、約1,200人を雇用するという。この計画は、オハイオ州デイトン地域における過去最大の設備投資で、同州における最初の外資系企業として、また、セムコープにとっても最大の投資案件の1つとなる。同社は上海に拠点を置く、世界最大のリチウムイオンバッテリー用セパレータフィルムメーカー。セパレータフィルムは、バッテリーの正極と負極の間に設置される膜で、正極と負極との接触を防ぎ、電解質イオンを通過させる機能を持つ。

同社の工場は、ミルクリークとクターロードにあるシドニー・オハイオ工業団地に建設される予定で、この工場で生産されるセパレータフィルムは、主に北米の大手電気自動車(EV)用バッテリーメーカーに供給される。工場の建設は2022年末に着工し、2025年12月末までに完成する予定となっている。

また、シドニー市議会は雇用創出に関する還付不要の税額控除を10年間行うことを承認するなど、受け入れ側の自治体も積極的だ。

オハイオ州を電気自動車バッテリー生産の中心に

現在、オハイオ州は、EV用のリチウムイオンバッテリーのサプライチェーンの構築に力を入れている。同州はテネシー州に先駆けて、ゼネラルモーターズ(GM)とLGエナジーソリューションズの合弁会社アルティウム・セルズの23億ドル規模の工場建設の誘致に成功しており(2021年4月19日記事参照)、EV関連のサプライチェーンのハブを構築する上で有利な条件にあると強調している。オハイオ州の同社工場では、2022年8月からEV用バッテリーの生産開始を予定している。

セムコープのポール・リー会長兼最高経営責任者(CEO)は「シドニー工場は、EV用バッテリー向けセパレータフィルムとしては米国最大の製造拠点となる。この部品を米国内で大規模に生産できるよう、州や地域のリーダーと協力していくことを楽しみにしている」と述べた。

(星野香織)

(米国、中国)

ビジネス短信 036d9420fe83a727