GM・LG合弁、米テネシー州での車載電池工場の建設に約23億ドル投資へ

(米国、韓国)

アトランタ発

2021年04月19日

米国のゼネラルモーターズ(GM)と韓国のLGエナジーソリューション(LG化学の子会社)の合弁会社アルティウム・セルズは4月16日、テネシー州モーリー郡スプリングヒルに約23億ドルを投資し、電気自動車(EV)に搭載する新型電池アルティウムバッテリー(注1)の工場を建設すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同社はオハイオ州ローズタウンに同じく約23億ドルを投資し、アルティウムバッテリーの工場建設を2020年5月から進めており、今回の新工場は米国で2カ所目のEVバッテリー生産工場となる。

工場規模はローズタウン工場と同規模の約280万平方フィート(26万平方メートル)で、1,300人の雇用創出が見込まれている。工場は2023年後半に稼働を予定している。GMは2020年10月にスプリングヒルの工場での電動スポーツ用多目的車(SUV)「リリック」の生産を発表しており(2020年10月22日記事参照)、新工場で生産されるEVバッテリーはこのGMの工場に供給されることになる。

GMは既に2035年までに販売するライトビークル(乗用車、小型トラック)の排ガス量ゼロを目指すことや、2020年代半ばまでに世界で30の完全電動化モデルを市場に投入することを発表している(2021年1月29日記事参照)。

GMのメアリー・バーラ会長兼最高経営責任者(CEO)は「合弁パートナーであるLGエナジーソリューションとともに、米国で2カ所目のアルティウムバッテリー工場を加えることは、完全電化の将来への移行におけるもう1つの大きなステップだ」と語り、「テネシー州の支援がスプリングヒルへの投資を可能にした重要な要因だった」と、テネシー州への謝意を示した。

テネシー州のビル・リー知事は16日の記者会見で、「今回の投資は州の歴史上、1回の投資としては最大だ」と語り、「テネシー州は米国南東部の自動車産業におけるリーダーだ。われわれは米国全体の自動車産業におけるリーダーとなることを望んでいる」と期待を示した(「テネシアン」紙電子版4月16日)(注2)。

(注1)GMが開発したアルティウムバッテリーは、バッテリーパック内に大容量のパウチ型セルを垂直、または水平に積み重ねられる点が特徴。これによって、車両デザインに合わせて最適な配置が可能となり、蓄電容量を最大化できる。最大充電時には450マイル(約720キロ)以上の走行が可能となる。

(注2)テネシー州経済開発庁の発表によると、テネシー州のEV産業は42億ドル以上の投資をもたらしており、米国南東部のEV生産に関する雇用と投資の約40%を占めている。同州では南東部で最多となる年間1万6,000台以上のEVが生産されている。

(石田励示)

(米国、韓国)

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