新首相に野党のシャバズ・シャリフ氏、議会下院が選出

(パキスタン)

カラチ発

2022年04月13日

パキスタン連邦議会下院は4月11日、最大野党のパキスタン・イスラム教徒連盟シャリフ派(PML-N)党首のミアン・モハンマド・シャバズ・シャリフ氏を新首相に選出した。同様に立候補していたカーン政権で外相を務めたマクドゥーム・シャー・マヘムード・クレーシ氏は投票直前で議員辞職し、投票をボイコットした。シャバズ・シャリフ氏は同日議会で第23代首相としての宣誓を行った。

シャバズ氏は、過去3回首相を務めたナワズ・シャリフ氏の弟で70歳。パンジャブ州首相を3期務め、2018年から野党リーダーを務めた。

新首相に選出された後、シャバズ氏は演説で今後の経済・外交政策について、次のように述べた。

  • パキスタン経済は深刻な状況にあり、立て直しが必要。
  • 経済界に月10万ルピー(約6万9,000円、1ルピー=約0.69円)未満の従業員の給与10%引き上げを要請(4月分から)。
  • 最低賃金を2万5,000ルピーに引き上げ(4月1日から、注:現在はシンド州2万5,000ルピー、パンジャブ州およびイスラマバードが各2万ルピー)。
  • 公務員と軍人の年金の10%引き上げ(4月1日から)。
  • 小麦粉価格の引き下げ〔ラマダン(断食月)中〕。
  • パキスタンを投資の最適地にする。
  • 電気料金の引き下げ。
  • 中国、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、カタール、トルコ、EU、英国、イランとの関係強化。特に中パ経済回廊(CPEC)事業を加速。
  • EUが供与するGSPプラス(特恵関税)の延長を確信。
  • 米国とは平等と相互尊敬に基づき関係強化。
  • カシミール問題を公正に解決する条件下でインドとの関係を改善。
  • パレスチナ人、アフガニスタン人のために世界に声を上げる。

議会下院は4月10日未明、最高裁から差し戻されたイムラン・カーン首相に対する不信任決議案の投票を実施(2022年4月5日記事参照)。野党が344議席中174票を獲得し、カーン首相はパキスタン憲政史上初の不信任決議による首相失職となった。

(山口和紀)

(パキスタン)

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