ロシアへの姿勢足並みそろわず、G20財務相・中央銀行総裁会議

(世界、インドネシア、米国、ロシア、ウクライナ)

ジャカルタ発

2022年04月25日

G20財務相・中央銀行総裁会議が4月20、21日、米国ワシントンで開催された(G20ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。会議には、インドネシアのジョコ・ウィドド大統領の招待によりウクライナのセルヒ・マルチェンコ財務相が出席した上で、直近のウクライナ情勢、インフレーションやサプライチェーンの断絶などにつき議論が交わされた。しかし、ロシアに対する各国の姿勢の違いから共同声明は採択されず、さらにロシア代表者の発言時には、米国のジャネット・イエレン財務長官をはじめ、カナダや英国、ウクライナの代表者が一時退席するなど、G20として足並みをそろえることはできなかった。

同会議では(1)ウクライナ情勢を含む世界経済とリスク、(2)世界の健康問題、(3)国際金融構造、(4)持続可能な金融、の4項目について議論が交わされた。参加国は世界経済に関し、長期化が予測されるインフレ圧力を懸念するとともに、こうした状況は中央銀行による金利政策の引き上げを促し、世界の流動性の引き締めを予想以上に早めることになるとの見解を示した。なお、IMFは4月19日に、2022年の世界のインフレ率が前年比7.4%との見通しを示している(2022年4月22日記事参照)。新型コロナウイルスについては、感染拡大を抑止するため、引き続き世界が協調して行動することが重要との認識で一致した。

ウクライナ情勢、参加国の対応分かれる

ウクライナ情勢について、参加国からは人道的危機および経済的影響に深い懸念が表明された。ウクライナのマルチェンコ財務相は「ロシアは世界経済の疾病(disease)だ」と、強い言葉でロシアを非難した(ウクライナ財務省プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。一方、中国の劉昆財政部長は「G20参加国は、世界経済を政治の道具として利用することを避けるべきだ」とし、欧米諸国の姿勢を非難した(中国財政部プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

G20議長国を務める、インドネシアのスリ・ムルヤニ財務相は「G20は、参加国がさまざまな問題を議論するための重要な場であり続けている」とG20の重要性を指摘した上で、「われわれは、現在直面している困難な課題を克服することができる」とコメントした(「ビスニス」4月22日)。

(上野渉)

(世界、インドネシア、米国、ロシア、ウクライナ)

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