上海市における配達人員の業務復帰申請が始まる

(中国)

上海発

2022年04月26日

中国・上海市商務委員会および上海市郵政管理局は4月21日、「防疫期間中の上海市における電子商取引(EC)プラットフォーム、郵便宅配企業などの配達・郵送人員の防疫管理をより一層強化するための通知PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」を発表した。

同通知の対象となるのは、上海市で登記されたECプラットフォーム、スーパーマーケットなどの販売店、飲食企業、郵便宅配企業。同通知に基づいた手続きを行い、当該企業および配達員が「ホワイトリスト」に掲載されれば、配達員の業務復帰が可能となる。具体的な手続きの手順は以下のとおり。

  1. 区や市の主管部門に「企業ホワイトリスト」申請を行う。
  2. 「ホワイトリスト」に掲載された企業は「人員ホワイトリスト」を管轄部門へ送付する。リストの送付先は、郵便宅配企業は郵政管理部門、ECプラットフォーム、スーパーマーケットなどの販売店、飲食企業は商務部門となる。

なお、1.および2.に登録された企業の人員は配達業務に従事することができるが、各配達員は1つの経営主体に帰属することとなる(注)。各配達員は支付宝、Wechatアプリで「電子通行証」を申請することができるようになる。「電子通行証」には配達者のPCR検査陰性証明、「健康コード」が緑色であること、抗原検査陰性などの情報が表示される。

上海では、出前サービスやスーパーマーケットが、人員を増強してサービス提供に当たっている。出前サービス大手、テンセントグループの美団の生鮮食品販売責任者は、上海でのサービス提供を支援するべく、これまで全国各地から数百人が駆け付け荷物の仕分け作業に当たっているとしている。また、アリババグループのスーパーマーケットのフーマー(盒馬)では、20都市の従業員が上海に赴き支援業務に当たっており、既に市内の10数店舗がオンライン営業を再開しているほか、上海に隣接する都市の150カ所の店舗が運営を再開し、上海市民にサービスを提供しているという(「第一財経」4月19日)。

上海市商務委員会の周嵐副主任は4月19日の会見で、ECプラットフォームの配達員は、上海市の生活物資供給を保障する上で重要と指摘。各ECプラットフォームでは、条件を満たした配達員の業務への復帰を積極的に行っており、その数は2万人近くにのぼると説明した(「第一財経」4月19日)。

(注)配達員は、1社のみならず、複数企業の配達業務を担うケースもあるが、今回の通知では、1人の配達員は特定の1社のみの配達業務を行うことができると規定している。配達員を含め、新業態プラットフォームを通じて就業する一方、プラットフォーム企業との間で労働関係が構築されていない就業者をフレキシブルワーカー(中国語では「霊活就業」)という。フレキシブルワーカーの詳細は2022年4月11日付地域・分析レポート参照)。

(尹世花)

(中国)

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