メルセデス・ベンツ、車載ソフトウエア開発拠点をシュツットガルト近郊に開設

(ドイツ)

ミュンヘン発

2022年04月20日

ドイツ自動車大手メルセデス・ベンツ・グループ傘下のメルセデス・ベンツは4月8日、ドイツ南部シュツットガルト近郊のジンデルフィンゲンにあるメルセデス・ベンツ・テクノロジーセンター(MTC)に車載ソフトウエアの開発拠点「エレクトリック・ソフトウエア・ハブ(Electric Software Hub)」を開設したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。投資額は2億ユーロ以上。同社は、乗用車の設計思想となるアーキテクチャー(プラットフォーム)について、2025年以降は電気自動車(EV)向けのみにすると発表しており(2021年8月3日記事参照)、将来の車載オペレーションシステム「MB.OS」(注)の実用化に向けて本格的に動き出した。

エレクトリック・ソフトウエア・ハブの敷地面積は7万平方メートル。8階建ての建物内で車載ソフトウエアのコード作成からハードウエアへのシステム統合作業、車両の試作品の製作までの全てを実施することができる。19部門から専門家が結集し、部門の垣根を超えた事業連携を目指す。

具体的には、例えば、上層階ではソフトウエアのコード作成や、仮想車両などの最先端の技術を活用したシステム統合テストを行う。これらのテストは全て自動化されており、そこから得られる膨大なデータは社内のシステムネットワークによって開発チームに共有される。一連のプロセスを迅速かつ効率的に進めることができるため、開発にかかるコストと時間を大幅に短縮することが可能だ。下層階には車両走行のテスト環境を整備し、50度からマイナス30度の気温条件で、最大時速250キロまでの走行シミュレーションのテストを行うことができる。さらに、施設内に250のEV充電スタンドを完備し、開発のスピードアップにつなげる。

メルセデス・ベンツの取締役メンバーで、開発・調達部門の最高技術責任者のマルクス・シェーファー氏は「エレクトリック・ソフトウエア・ハブは当社の研究開発だけでなく、全世界の生産拠点と密接にネットワーク化されている」と述べた。現在、ジンデルフィンゲンだけでソフトウエア開発に約1,000人を新たに雇用し、研究開発において全世界で最大2,000人を追加雇用するとしている。

(注)メルセデス・ベンツ・オペレーティングシステム

(大河原楓)

(ドイツ)

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