米ナイキ、アトランタにテクノロジーセンター開設

(米国)

アトランタ発

2022年04月15日

米国のスポーツ用品大手ナイキ(本社:オレゴン州ビーバートン)は4月7日、ジョージア州アトランタにテクノロジーセンターを開設すると発表した。新センターでは物流・サプライチェーン、サイバーセキュリティー、人工知能(AI)・機械学習(ML)に重点的に取り組む。具体的には「デジタルファースト」なサプライチェーン戦略の推進や、米東海岸地域を統括するサイバーセキュリティー・コマンドセンターの設置、AIやMLによる顧客体験の「再構築(reimagine)」が狙いだ。雇用予定者数は未公表だが、既に一部の求人を開始しており、2023年初頭の同センター開設まではリモートで勤務する。

ナイキは、製品の開発からビッグデータの管理、最先端のエンジニアリングとシステムサポートの提供に至るまで、テクノロジーとスポーツの融合による未来の「再構築」に取り組んでいる。デジタル技術を活用した同社の取り組みを牽引するグローバル最高デジタル情報責任者(CDIO)のラトナカー・ラヴ氏はアトランタを選んだ理由として、同市とスポーツとの結びつきの強さに加え、技術力のある多様な人材が豊富な点、この地域に優秀な大学がそろっている点を挙げている。

テクノロジーハブとして存在感増すアトランタ

アトランタをテクノロジーハブに選ぶ企業が増加している。3月には小売り大手ウォルマートがグローバルテックハブの新設を発表、データサイエンティストやソフトウエアエンジニアなど140人を新規採用する予定だ。また、同じく3月にクレジットカード会社のキャピタルワンがアトランタに新オフィスを構えて、クラウド、ML、サイバーセキュリティー関連のエンジニアを多数採用する方針を示した。同社のエグゼクティブ・バイス・プレジデント(EVP)のトッド・ケネディ氏は「アトランタは、エンジニアの仕事とテック系スタートアップにとっての主要都市だ」と述べている。

デロイトが毎年発表している北米各都市に拠点を置くテック系企業の成長率ランキングを示した「North American Technology Fast 500」(2021年版外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、ランクイン企業数の多い都市順でみると、サンフランシスコ(49社)、ニューヨーク(45社)、トロント(17社)に次ぎ、アトランタはボストンと並んで4位(16社)となっている。

(高橋卓也)

(米国)

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