2022年のラオス経済成長率は3.4%の見通し

(ラオス)

ビエンチャン発

2022年04月13日

アジア開発銀行(ADB)は、アジア太平洋地域の最新の経済見通しレポート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。同レポートによれば、ラオスの実質GDP成長率は、2020年に前年比マイナス0.5%まで落ち込んだが、2021年は2.3%となり、2022年は3.4%と緩やかに回復する見通し。

2021年のラオスのGDPを産業別でみると、鉱工業分野が4.0%増となった。このうち電力は4万1,916ギガワット時(GWh)と増加(前年比6.1%増)したほか、鉄鉱石・金などの鉱物資源も2.0%の増加となった。また、中国ラオス鉄道や経済特区、また都市部における不動産開発など、建設分野も経済成長に貢献したと指摘している。

農産物は、コメの増産(前年比3.3%増)に加え、中国市場での旺盛な需要を背景に、バナナ(24.6%増)やキャッサバ(12.1%増)、サトウキビ(10.0%増)などの主要農産品が大きく増えたことで、1.1%の増加となった。

一方で、サービス業(前年比0.4%増)は、新型コロナウイルス感染拡大防止にかかる規制の影響を受け低調が続いた。

貿易では長年、赤字が続いていたが、2021年は電力や鉱物の輸出が好調だったことから3億5,300万ドルの黒字となったと分析した(2020年は1億5,100万ドルの赤字)。

また、2021年の公的債務はGDP比で78.8%に拡大しており、対外債務支払いは向こう5年間で年平均13億ドル規模を予想。しかし、外貨準備高は13億ドルと商品輸入代金の2.1カ月分にすぎず脆弱(ぜいじゃく)と指摘した。

今後の見通しでは、電力や鉱業へのさらなる投資と生産増、観光業の緩やかな回復、農業の堅調な成長が下支えし、2022年は3.4%、2023年は3.7%の経済成長率を見込む。また、中国ラオス鉄道に代表される運輸業は、サービス業の成長の主要な原動力になると指摘した。

一方、インフレについては、原油価格の上昇や内需の拡大、通貨キープ安により2022年は前年比5.8%上昇とし、インフレ圧力は債務危機リスクをさらに高めることから、さらなる透明な対外公的債務管理が必要となると指摘した。

(山田健一郎)

(ラオス)

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