ラマポーザ大統領が「国家的災害事態」宣言の終了を発表

(南アフリカ共和国)

ヨハネスブルク発

2022年04月07日

南アフリカ共和国のシリル・ラマポーザ大統領は4月4日の国民演説で、「国家的災害事態」宣言を同日付で終了すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。本宣言は、新型コロナウイルス感染拡大防止への迅速な対応や救援措置を実施するために、2020年3月15日から約2年にわたり適用されてきた(2020年3月18日記事参照)。2022年3月の国民演説では、4月中旬まで宣言を維持するとしていたが、関係各所からの批判を受けて、前倒しで終了することとなった。これにより、ロックダウンに関する規制は解除されるものの、移行措置期間の1カ月間は一部規制が残るため、実質的には市民の日常生活に大きな変化はないとみられる。

今後、新型コロナウイルス対策規制は、国民健康法の下で管理されることになる。今回の演説では、保健省が4月16日まで実施する関連法案のパブリックコメント(注)が終了後、法制化する予定としている。ただし、ラマポーザ大統領は、まだ感染拡大は完全に終わってないと述べ、改正される国民健康法への移行期間として4月5日から30日間は、一部規制を残すとした。それによると、期間中、葬儀への参列者数の上限はなくなるものの、屋内でのマスクの着用、集会の上限、入国時の陰性証明書もしくはワクチン接種証明書の提示が引き続き求められる。

ラマポーザ大統領は演説で、現在の感染状況に鑑み今回の決定を下したと述べた。同大統領によると、2021年7月の第3波のピーク時には1日当たりの死者数が平均420人だったところ、オミクロン株が中心となった第4波では平均240人と比較的少ない数で推移し、現在では12人まで減少している。また、国内の一般病床使用率は約16%、ICU(集中治療室)使用率に至っては3%程度と正常時に戻りつつある。

なお、最大野党の民主同盟(以下、DA)は、ラマポーザ大統領による今回の発表を歓迎しつつも、「新しい国民健康法がただ「国家的災害事態」宣言にとって代わるものであってはならない」と懸念を示した。通常は法律改正に当たり議会での承認が必要だが、宣言下では迅速な対応が求められるため、保健大臣には法律改正の権限が特別に認められていた。DAは、今後の改正で大臣権限を強化されるようなことがないよう求めている。

(注)詳細は官報PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)に掲載。なお、大統領は演説で、パブリックコメントの期間を4月16日までとしていたが、官報には15日までと記載されている。

(堀内千浪)

(南アフリカ共和国)

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