WTO、農産品の輸入管理手続き改正、途上国に配慮

(世界)

国際経済課

2022年04月04日

WTOは3月31日、一般理事会を開催し、農産品の関税割当(TRQ)制度に関する決定を承認した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

TRQは、一定の輸入数量枠で低い関税率(または無税)を、枠を超える輸入には高関税を適用する制度だ。WTOには、TRQの利用(消化)率が低い農産品(注1)に対する監視枠組みがある。2013年のバリ合意外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに基づき、消化率が2年続けて65%を下回る場合(注2)、TRQの運用手続きを見直す必要がある(注3)。WTO事務局によると、TRQの平均消化率(2014~2019年)は53%にとどまるほか、200品目近くが監視基準の65%を下回る。

この監視枠組みについては、TRQの消化率を高めるための見直しの中で、途上国の扱いが争点となっていた。途上国は、TRQの運用手続きを維持することなどが2年以上認められる一方、維持する場合は消化率が一定水準(注4)まで高まらない限り、監視対象から外れることができなかった。WTO農業委員会では、この手続きを改正し、消化率の上昇が不十分でも、他の輸出国の要請がなければ監視を終了する提案が出され、交渉の結果、農業委員会で満場一致で支持され、今回の一般理事会でも認められた。

加盟国の多くは、現実的な解決策により、消化率を高めつつ、途上国の特別かつ異なる待遇(S&D)の余地が十分与えられると強調している。マルコス・ダ・ローザ・ウランガWTO農業委員長(ウルグアイ)は、一般理事会の決定を賞賛するとともに、「コンセンサスによる決定によって、加盟国が集団で意思決定する能力について、自信をもたらすもの」と述べた。6月13日の週には、第12回WTO閣僚会合(MC12)が予定されている。今回の決定はMC12に提出され、閣僚が最終的な判断を行う。

(注1)消化率とは、TRQの数量枠に対して、実際に同枠を利用した輸入実績が占める割合を指す(例えば、100トンの枠に対する輸入量が70トンであれば、消化率は70%)。なお、農産品の定義については、WTO農業協定付属書1を参照。

(注2)同期間に輸入国が消化率を報告しない場合を含む。

(注3)同義務については、国別の割当制度に関する輸入国の権利を変更・阻害しない。

(注4)3年連続で、(1)消化率が40%を上回る場合は毎年8ポイント以上、(2)40%以下の場合は毎年12ポイント以上上昇することが水準となる。

(藪恭兵)

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