ムーディーズ、韓国の信用格付けを「Aa2」に据え置き

(韓国)

ソウル発

2022年04月27日

韓国の企画財政部は4月21日、米国の格付け会社ムーディーズが、韓国の信用格付けを「Aa2」(Aaa、Aa1に続いて3番目に高い格付け)に据え置き、格付けの見通しを「安定的」と評価したと発表した。同部が発表した概要について「成長見通し」「国家債務」「地政学リスク」「今後の信用格付けの格上げ/格下げ要因」などに関し、以下のとおり紹介する。

1.成長見通し

2022年の韓国経済は、世界経済の成長鈍化およびウクライナ情勢などに伴うエネルギー価格の高騰が進む中で、好調な半導体産業や民間消費の回復などによって、年率2.7%の緩やかな成長が見込まれる。長期的には、優秀な革新能力や競争力、韓国版ニューディールなどを通じたデジタル経済・グリーン経済に移行する努力などが高齢化や家計負債などの潜在成長率低下の要因を相殺し、今後数年間は2%台の成長が続く見通し。

2.国家債務

高い水準が続くことが見込まれ、今後の包摂的成長や高齢化対策のため、「新型コロナ禍」での緊急支援措置の終了後も財政拡大基調が続く可能性がある。他方、財政負担は管理可能な水準になると見込まれ、韓国の債務比率は他の先進国と比較し低い水準であることから、今後の「財政準則」(政府が財政の健全性を管理するために立てる規範)の施行は債務の持続可能性を下支えする要因となる。

3.地政学リスク

韓国の地政学リスクは短期間で発生する可能性は低いものの、持続的な負担要因となっている。北朝鮮のミサイル発射実験にもかかわらず、緊張度合いは過去と比べて低い水準にある。

4.今後の信用格付けの格上げ/格下げ要因

韓国の信用格付けの格上げ要因は、潜在成長力の向上および高齢化克服のための経済・構造改革、朝鮮半島の戦争の脅威の減少など地政学リスクの緩和だ。一方、国内外の衝撃による潜在成長力の構造的な低下、政府財政の著しい悪化、地政学リスクの増大は格下げ要因となる。

同部は今後の対応について、「これからもムーディーズなど海外の格付け会社などと緊密な意思疎通を図り、韓国経済の回復の成果および政策の方向性を積極的に共有するなど、対外信用度の向上に万全を期す」とコメントした。

(当間正明)

(韓国)

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