米民間企業、有望なユニコーン企業のリストを公開、2022年前半の新規上場企業数は低調

(米国)

ニューヨーク発

2022年04月25日

スタートアップ企業のデータベースを運営する米クランチベースによると、世界におけるユニコーン企業(注)数は1,200社以上(2022年2月時点)に達しており、これらスタートアップ企業の企業価値は初めて4兆ドルを突破した。2020年のユニコーン企業の総価値(2兆ドル)から倍増しており、今後も有望なスタートアップ企業への期待が高まる。

こうした中、同社は独自の「世界における有望なユニコーン」の条件を満たす企業から対象を選択し公開した。同社のリストには304社の企業が掲載されており、これらの企業はこれまでに総額520億ドル以上を調達、企業価値は2,000億ドル以上に達している。分野別にみると、金融、コマース・ショッピング、データ分析などの企業が最も多い。また、国別にみると、世界で有望なユニコーン企業が最も多いのは米国がトップで158社、次いで、インド(31社)、中国(26社)と続いた。直近で注目企業として加わったのは、ロンドンに拠点を置く貿易金融プラットフォームのステン、拡張現実(AR)・仮想現実(VR)向けのディスプレイ部材を開発する米国のデジレンズ、イスラエルのクラウドセキュリティ企業のコロネット、人口知能(AI)を用いた契約管理プラットフォームを提供する米国のリンクスクエアーズ、分散型金融サービスを手掛ける米国のパラレル・ファイナンスなどが挙げられる。

2021年はデジタル化のニーズの高まりを受け、スタートアップ企業に記録的な規模で投資が流入し、新規株式公開(IPO)や特別買収目的会社(SPAC)の新規上場は好況を受けたものの、2022年は新規上場数が減少するとの市場予想が広まっている。IPO調査会社ルネサンス・キャピタルによると、2021年末に投資収益が急落したことに加え、ウクライナ情勢への懸念などさまざまな環境の変化から、IPOを目指す企業にとって厳しい状況となっている。同社によると、米国の2022年第1四半期のIPO市場は過去6年間で最も低調で、IPO件数はわずか18件、調達額は21億ドルにとどまった。

また、SPAC市場も2021年第4四半期から価格が70%近く下落し、上場の取り下げや合併の中止などが相次ぎ勢いを失った。同社は、IPO市場の短期的な見通しについて、第2四半期に向けて不透明であり、最近の投資収益やリスク選好が回復しなければ活動再開が難しいだろうと指摘した。

(注)企業評価額が10億ドル以上、かつ設立10年以内の非上場ベンチャー企業の総称。

(樫葉さくら)

(米国)

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