バイデン米政権、インフラ計画におけるバイ・アメリカン規則を発表

(米国)

ニューヨーク発

2022年04月20日

米国行政管理予算局(OMB)は4月18日、インフラ向けの連邦資金援助計画におけるバイ・アメリカン規則の運用ガイダンスを発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。

本件は、2021年11月に成立したインフラ投資雇用法(IIJA、2021年11月9日記事参照)に基づく動きとなる。IIJAは、連邦政府機関に対して、2022年5月14日までに「(インフラ)計画に使われる全ての鉄鋼、工業製品、建材が米国で生産されていない限り、インフラ向けの連邦資金援助計画の資金を拠出しないことを確かにすること」を定めている。OMBは今回のガイダンスで、その要件を次のとおりに定めた。

  1. 計画に用いられる全ての鉄鋼について、鋳造からコーティングまでの全製造工程が米国で行われていること。
  2. 計画に用いられる全ての工業製品について、米国で採掘・生産・製造された構成材のコストが全コストの55%を超えていること。
  3. 計画に用いられる全ての建材について、全製造工程が米国で行われていること。

また、OMBは、連邦政府機関がバイ・アメリカンの適用除外を認める際の要件や手続きも定めており、当該要件について次の3つの類型を示している。

  1. 国内調達要求を適用することが公共の利益に反する場合。
  2. 鉄鋼、工業製品、建材について、十分な量または十分な質が米国内で生産されていない場合。
  3. 米国内で生産された鉄鋼、工業製品、建材を含むことが、インフラ計画全体のコストを25%以上引き上げる場合。

ただし、連邦政府機関は適用除外を認めるに当たって、事前にOMB内のメード・イン・アメリカ室(MIAO)に相談した上で、ウェブサイトに詳細を公示してパブリックコメントを募集することが求められている。今回のガイダンスは、IIJAの資金が拠出されるインフラ計画に限らず、連邦規則集(CFR)第2章200.1条で定義されている「連邦資金援助」が提供されるインフラ計画全てに適用される。ガイダンスによると、「連邦資金援助」の受益者は「非連邦政府機関」で、それには州、地方自治体、自治領、インディアン部族、高等教育機関、非営利団体が含まれるとしている。営利団体は含まれないとしているが、個別の法令に基づく権限を通じて、連邦政府機関が「連邦資金援助」を受けた営利団体にも、国内調達要求を求めることはあり得るとしている。

今回のガイダンスに関して、米国の鉄鋼メーカーを代表する米国鉄鋼協会(AISI)は、バイ・アメリカンの完全な実施に向けた重要な第一歩と評価する声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを出している。一方、全米最大の業界団体である米国商工会議所は、国内製造能力の維持・拡大は重要と認めつつも、ガイダンスの内容とスケジュールが実現困難との強い懸念を表明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

(注)OMBは、ガイダンスの11ページ目でいくつか例を示している。例えば、米国産の鉄鋼に5%を超えない割合で非国内産材料が含まれる場合や、州政府がWTOの政府調達協定(GPA)やその他貿易協定上の義務を負っている場合などが挙げられている。

(磯部真一)

(米国)

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