金融を一段と引き締め、2022年通年のインフレ予測を4.5~5.5%へ上方修正

(シンガポール)

シンガポール発

2022年04月15日

シンガポール通貨金融庁(MAS、中央銀行)は4月14日、金融の一段の引き締め方針を発表するとともに、2022年通年の消費者物価指数(CPI)の予測を上方修正した。同庁は高まるインフレ圧力を受け、2021年10月14日にそれまでの金融緩和から引き締めへ金融政策の方針を転換した後、2022年1月25日に異例の追加引き締めを発表したばかりだった。

MASは金融政策の手段として政策金利を設定せず、通常は4月と10月の2回、通貨シンガポール・ドル(Sドル)の為替変動幅を見直している。同庁は今回の発表で、Sドルの名目為替実行レート(NEER)の誘導目標帯(許容変動幅)の「中央値の位置を再調整」するとともに、誘導目標帯の傾きを「若干、引き上げる」ことでSドル高へとさらに誘導する方針を明らかにした。誘導目標帯の幅に変更はないとしている。

MASは発表で「世界的なインフレ圧力の高まりと、国内の労働市場がタイトなことから、(住宅関連費と民間輸送費を除いた)コア・インフレ率に中期的な上昇圧力が続く」との見方を示した。このため、同庁は2022年通年のコア・インフレ率の予測を1月25日に発表の「2.0~3.0%」から、「2.5~3.5%」へと上方修正した。

同国で自動車購入時に取得が義務付けられている自動車所有権証書(COE)とガソリン価格の上昇により、民間輸送費が上昇。また、住宅建設の遅れにより、住宅賃料など住宅関連費も上昇している(2022年4月5日記事参照)。このため、MASは、総合CPIの上昇幅が2022年にコア・インフレ率の上昇幅を上回ると指摘。2022年通年の総合CPIの予測を1月25日発表の「2.5~3.5%」から、「4.5~5.5%」への上方修正を発表した。

2022年第1四半期のGDP成長率、速報値で前期比年率0.4%

貿易産業省(MTI)の同日の発表によると、2022年第1四半期(1~3月)のGDP成長率が前期比年率0.4%(季節調整済み)と、前期の2.3%から成長幅が縮小した。前年同期比ベースでは、第1四半期のGDP成長率は3.4%だった。

同省は今回、2022年通年のGDP成長率を「3.0~5.0%」とし、従来の予測を維持した。MASは、ロシアによるウクライナ侵攻の経済へのさらなる悪影響や、新型コロナウイルスのパンデミックが深刻化しない限り、シンガポールのGDP成長率が予測値を達成する見込みだと述べた。MTIは5月中旬に第1四半期GDPの改訂値を発表する予定だ。

(注)MASはSドルの為替レートの設定に当たり、米国を含む主要貿易相手国の通貨で構成する通貨バスケット制を採用しているが、具体的な構成通貨や変動幅を公表していない。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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