電力やガス料金、タクシー運賃、家賃の引き上げなどで生活費が上昇

(シンガポール)

シンガポール発

2022年04月05日

シンガポールの政府系電力・ガス会社SPグループは4月1日から、一般家庭など小口電力利用者向けの電力料金を1キロワット時(kWh)当たり0.2794シンガポール・ドル(約25円、Sドル、1Sドル=約90円)へ、それまでの0.2544Sドルから9.8%引き上げた。同国では最近、電力料金だけでなく、ガス料金や家賃、タクシー料金など生活費の上昇が続いている。

SPグループの小口電力利用者向けの電力料金は、主に天然ガス価格の動向に応じて、四半期ごとに改定されているが、2021年第1四半期(1~3月、1kWh当たり0.2076Sドル)分以降は上昇が続いている。同料金は2022年第2四半期(4~6月)分まで34.6%上昇する。電力料金上昇の背景には、2021年からのエネルギー需要の増加に伴う天然ガスの国際価格の上昇に加え、最近のウクライナ情勢の緊迫化で上昇の勢いが加速していることがある。ガス供給会社シティー・エナジーも、一般家庭向けの都市ガスの料金を4月1日から1kWh当たり0.2166Sドルとし、それまでの0.2021Sドルから7.2%引き上げた。

ガソリン価格も3月に入り、1リットル3Sドルの大台へと上昇した。英国ロイヤル・ダッチ・シェルのガソリンスタンドでのガソリン1リットル当たりの価格は、4月2日時点で3.02Sドル(オクタン価95、割引前の価格)だ。国内最大のタクシー会社コンフォートデルグロは4月4日から、ガソリン価格の上昇を受けてタクシー運賃を10キロ当たり約0.32Sドル引き上げた。今回の引き上げは「一時的措置」としているが、同社が運賃を引き上げるのは2022年に入り2回目となる。

さらに、住宅家賃も上昇している。英不動産コンサルタント会社サビルスは3月9日付レポートで、同国の民間住宅の家賃が2022年に前年比10~15%上昇するとの予測を示した。サビルスによると、都心部の高層マンションなど高級住宅の家賃は2020年に前年比2.2%減とマイナスとなった後、2021年に5.3%増とプラスに転換した。

2月のCPIは前年比4.3%増

シンガポール統計局の発表(3月23日)によると、2月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比4.3%増だった。特に民間輸送費が2月に17.2%増と最大の伸び幅を示したほか、ガス・電力などの公共料金も11.5%増加した。シンガポール通貨金融庁(MAS、中央銀行に相当)は1月25日、2022年のCPI上昇率の公式予測を「前年比2.5~3.5%」とし、それまでの「1.5~2.5%」から上方修正していた。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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