「EVのフル充電は1時間以内で」と回答した米消費者は67%、自動車メーカー調査
(米国)
米州課
2022年04月27日
BMWグループのミニUSAは4月21日、電気自動車(EV)に関する消費者意識調査の結果を発表した(注)。
本調査結果によると、日々の利用において、EVの航続距離は75マイル(約120キロ)で十分と答えた割合は76%に達した。日常運転でEVに求める航続距離は、3年前の2019年調査から3ポイントしか増加しておらず、現在市場に出回っている新型EVの性能よりもはるかに低い。例えば、2020年から販売されているホンダ「e」の航続距離は283キロ(WLTCモード)、2022年発売開始となったトヨタの「bZ4X」は前輪駆動モデルで559キロだ。バッテリーの性能が急激に向上する一方、特に若者や女性の消費者はEVを通勤車またはシティーカーとしての利用を志向しており、航続距離に対する日常的な需要はそれほど高くないことを示唆している。
他方、充電時間の短縮化に対する需要は高まっている。充電時間は1時間以内であるべきと答えた割合は67%に達した。2019年の当該割合は59%だったことから、過去3年間で急速充電を求める声が大きくなっているといえる。
また、EVを所有するのは早すぎると回答した割合は63%で、2019年から3ポイントしか減少していない。つまり、EV開発は急速に進行しており、連邦政府もEVの普及政策を推進しているが、利便性などを考慮すれば依然購入する段階にないと考えている人が過半数を占めている。最寄りの充電ステーションを把握している割合は35%と、2019年(26%)と比べて増加しているが、消費者の認識はそれほど高まっていないとみてとれる。ミニUSAのコミュニケーション責任者のアンドリュー・カトラー氏は「わが社は2030年までに全ての新車をEVにするために活動しているが、わが社および他のEVメーカーが、EVは誰にとっても入手しやすく満足のいく運転を可能にするものだと示し続けることが重要だ」と述べた。
(注)本調査は4月1~3日に実施され、18歳以上の米国人1,016人(男性488人、女性523人)からオンラインで回答を得た。なお、ミニUSAは米国ニュージャージー州に拠点を構え、EVの「ミニクーパーSE」など同ブランド車種のマーケティングや販売を行っている。本調査は2019年以降、同じ設問を使って毎年実施されている。
(片岡一生)
(米国)
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