英首相が訪印、FTA交渉は10月末での大部分完了を目標

(英国、インド)

ロンドン発

2022年04月26日

英国のボリス・ジョンソン首相は、4月21、22日の2日間でインドを訪問、ナレンドラ・モディ首相と会談を行い、国防、外交、貿易などについて議論した。今回の訪印は同国との協力関係強化のほか、英国企業の貿易障壁を削減するとともに、国内の雇用と成長を促進させる狙い。

ジョンソン首相は、4月21日にグジャラート州を訪問。これに合わせ、両国企業によるソフトウエア工学、医療などの分野における総額10億ポンド(約1,630億円、1ポンド=約163円)超の新規投資なども確認された。具体的な事例として、英国のグローバル化学企業スコットベーダーが2,300万ポンドを投じてインドに樹脂製造施設を設立、インド企業ではヒンドゥージャ・グループ傘下で電気商用自動車メーカーのスイッチモビリティが、3億ポンドの投資計画の一環として2022年夏に英国に研究開発センターを設立することなどが挙げられている。

また、同首相は4月22日、ニューデリーでインドのモディ首相と会談し、会談後に共同声明を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。声明の中では、2022年1月に自由貿易協定(FTA)の交渉を開始したことに触れ(2022年1月18日記事参照)、2022年10月末までに大部分の交渉を完了する目標を設定した。防衛・安全保障分野では、防衛技術やシステム、特に重要な新興軍事技術の共同研究・設計・開発・生産を通じた、先進的な安全保障能力の実現支援のため、英国の防衛科学技術研究所とインドの防衛研究開発機構との間の取り決め書が最終化されたことを歓迎。また、気候とクリーンエネルギー分野では、現在の世界的なエネルギー価格の変動が、国内および国際的なエネルギー安全保障とクリーンエネルギー移行の重要性を強調していることを認識。インドの国立風力エネルギー研究所と英国の洋上再生可能エネルギー・カタパルトとの間の共同意向宣言(Joint Declaration of Intent)を含む、協力関係の強化に合意した。

さらに、自由で開かれた、包摂的で法に基づくインド太平洋地域という共通ビジョンを強調、同地域におけるASEANの役割の重要性への支持をあらためて表明した。また、両首相は英連邦の再活性化の必要性についても合意し、包摂的で持続可能な発展の推進など、英連邦加盟国のニーズと期待を支援するための議題や制度の活性化に取り組むとした。

(宮口祐貴)

(英国、インド)

ビジネス短信 a332ea16e3c852e1