米ウィスコンシン州、新たなクリーンエネルギー計画を発表

(米国)

シカゴ発

2022年04月27日

米国ウィスコンシン州のトニー・エバーズ知事(民主党)は4月19日、クリーンエネルギー計画を発表した。知事令によるものとしては、州史上初となる。本計画を通じて、家庭のエネルギー料金やガソリン価格を引き下げるほか、州外のエネルギー源への依存を減らしてエネルギーの自立を促進することを狙いとしている。加えて、2030年までに約4万人以上の雇用を創出し、革新的な産業や技術における職業訓練などへの投資を含むものとなっている。

この計画は、具体的には以下4つの柱から構成されている。

  1. クリーンエネルギー技術の普及促進:同州が設立した「フォーカス・オン・エナジー」プログラムに関する優遇措置の拡充、技術開発に取り組む企業の支援による先進技術開発の育成など。
  2. エネルギー効率の最大化:エネルギー効率源基準(EERS)の設定、エネルギー効率向上のための電力会社の自主投資の増加、農業分野でのエネルギー使用量削減など。
  3. 建物と産業の現代化:州内産の建築資材の活用や同州の森林保護、低炭素建築資材調達方針の策定など。
  4. 交通の革新:電気自動車への移行支援、電気自動車の充電インフラの強化など。

予測不可能なエネルギー市場に頼らない仕組みづくりを目指して

ウィスコンシン州は、州外のエネルギー源に多くを依存している。エバーズ知事は「毎年140億ドル相当の資金が州外に流出している」とした上で、「今後はその資金を州内で生産されるクリーンエネルギーに投資してエネルギーコストを削減し、革新的な技術や産業における高収入の雇用機会や訓練の創出のために使うべきだ」と述べた。また、ガソリンなど足元でのエネルギー価格の高騰を念頭に、「風力や太陽光のような安価でクリーンなエネルギーの生産を拡大・加速することで、外国の指導者や紛争によって混乱しがちで予測不可能な市場に頼らず、州内に資金を保持することができる」との考えを示した。

米国エネルギー省のデータによると、2020年における同州の再生可能エネルギーによる発電量は州内総発電量の約10%で、水力発電が約5%、風力発電が約3%、太陽光発電は約0.5%となっている。

(注)ウィスコンシン州全土で展開する、エネルギー効率化および再生可能資源プログラム。

(星野香織)

(米国)

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