米西海岸における港湾の労使交渉は5月12日から開始へ
(米国)
ロサンゼルス発
2022年04月20日
米国西海岸で太平洋海事協会(PMA)と国際港湾倉庫労働者組合(ILWU)による労働協約が7月1日に満了するのに先立ち、労使交渉が5月12日から開始されると現地紙が報じている。
ILWUのウィリー・アダムス会長は、ロサンゼルス港湾局のジーン・セロカ局長との対談で、新たな労働協約は現在の契約が失効するタイミングで合意に達する可能性が高いと述べた(4月12日)。
労使交渉では、一般的に賃金と福利厚生が争点となるが、今回は、荷役作業の自動化も重要議題に上がる可能性があると報じられている(ブルームバーグ4月13日)。過去2年間にわたる記録的な国内消費の高まりにより、特に西海岸における港湾の混雑や集荷の遅延は全米を揺るがす問題となっている。また、輸送会社が記録的な利益を上げていることからも、労働者側がさらなる影響力を持つと予想されている。
対談では、港湾労働者は「新型コロナ禍」でも週6日間、港を閉鎖することなく運営してきたことや、医療品や個人防護具の輸入を人的リスクがある中で継続してきたこと、港湾やその労働者が米国の消費を支える重要な存在であること、などについても強調している。
ILWUは、西海岸29港に従業する約2万人の労働者が加入する労働組合で、2019年に失効予定だった労働協約を2022年7月1日まで3年間延長していた(2017年9月8日記事参照)。また、新たな労働契約の締結に向けた交渉の合意に向け、全米49の業界団体は3月1日、バイデン大統領に書簡を送り、積極的な関与を要請している(2022年3月7日記事参照)。
4月19日時点での、ロサンゼルス港湾内に9日以上停滞する輸入コンテナ貨物の量は2万2,413TEU(注)となり、3月29日の1万5,708TEUに比べ42%増となっている。
(注)1TEU:20フィートコンテナ換算
(サチエ・ヴァメーレン)
(米国)
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