洪水被害を受け「国家的災害事態」を宣言、ダーバン港は操業再開

(南アフリカ共和国)

ヨハネスブルク発

2022年04月21日

南アフリカ共和国のシリル・ラマポーザ大統領は4月18日、クワズール・ナタール州と東ケープ州を襲った洪水(2022年4月15日記事参照)に関する国民演説外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、「国家的災害事態」宣言を発表し、最新の被害状況と今後の政府の取り組みについて報告した。被害の深刻さを受け、政府レベルで効果的な支援を行うため「州災害」宣言から格上げされたかたちだ。同宣言は、新型コロナウイルスの感染拡大によって約2年間継続されていたが、4月4日に終了したばかりだった(2022年4月7日記事参照)。なお、同宣言の期間は3カ月になる予定だ。

政府は今回、以下の3段階に分けて対策を講じていく予定としている。

  • 第1段階は、被災者全員の安全を確保し、緊急の人道的救済を行う。
  • 第2段階は、家屋を失った国民の生活環境の整備を行う。
  • 第3段階は、災害の被害にあった地域の再建と復興に焦点を当てる。

こうした対策を踏まえ、ラマポーザ大統領は、救助隊の人員の確保、インフラの構築、救援物資の提供など、さまざまな分野で具体的な支援策を実施・調整中としている。また、イノック・ゴドングワナ財務相は、支援のために国家予算から10億ランド(約85億円、1ランド=約8.5円)の拠出を直ちに決定し、追加予算の計上を国会に打診する予定とした。

一時操業を停止していたダーバン港は既に再開し、一部船の滞留が残るっているが、少しずつ回復している。冠水したターミナルに続く幹線道路は一部開通し、全面開通に向けて修復作業中だ。メディア報道によると、同港には約9,000個のコンテナの積み残しがあるが、1週間ほどで解消される見込みだという。電気も復旧し、同エリアに支店を持つ日系企業も営業を始めている。一方、同地に生産拠点を持つ日系輸送機器メーカーについては、全面的な生産再開には至っておらず、完全復旧にはもう少し時間がかかりそうだ。

なお、4月20日時点では、死者数は448人に達しており、現在も行方不明者の捜索と救助活動が続けられている。演説によると、4,000棟近くの家屋が全壊し、8,300棟以上が一部損壊する被害となっており、現在4万人以上が避難しているという。

(堀内千浪)

(南アフリカ共和国)

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