雇用は堅調に推移、多くの分野で供給不足・コスト上昇、米シカゴ連銀ベージュブック

(米国)

シカゴ発

2022年04月28日

米国連邦準備制度理事会(FRB)が4月20日に公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)(注1)の中で、米国中西部の一部地域(注2)を管轄するシカゴ連銀は、2月後半から3月にかけての同地域における経済活動について、緩やかに(moderately)向上したが、今後数カ月間はさらに緩やかな成長ペースとなると予測した。労働力と原材料の供給制約が、引き続き景気拡大の重荷となっているとした。

同地域の経済活動を分野ごとにみると、雇用は好調に推移し(increased at a strong pace)、今後12カ月間は緩やかな成長が見込まれるが、各業界の担当者からは、あらゆるレベルの労働者を見つけるのが難しいという報告があった。賃金と福利厚生のコストは、新しい労働者を引きつけるためと既存の人材を維持するための両方によって急速に増加した。

個人消費は、控えめに(modestly)増加した。家具、家電製品、電子機器への支出は小幅に増加したが、食料品の売り上げは横ばいだった。自動車販売台数は緩やかに減少したが、これは引き続き低水準の在庫に制約されていることが要因としている。

企業支出は、控えめに(modestly)増加した。小売業の在庫は、サプライチェーンの課題により、多くのセクターで低水準が続いており、多くの製造業からは在庫は望ましい水準に達していないとの報告があった。製造業関係者は、引き続き投入資材の不足を訴えており、中国での新型コロナウイルスの感染者増加がさらなる供給の混乱を引き起こすことに懸念を示している。

製造業の活動は、旺盛な需要にもかかわらず、労働者や資材の確保が困難なことから生産が制限され、控えめな(modestly)増加にとどまった。自動車生産台数は、マイクロチップなどの部品不足により、全面的に減少した。

農産分野に関しては、ロシアのウクライナ侵攻に関連して、価格上昇と大幅な価格変動に見舞われた。トウモロコシ、大豆、小麦の価格は上昇し、投入コスト、特に肥料とディーゼル燃料の価格も上昇した。これにより、作付け計画をトウモロコシから、より安価な資材の投入で生産できる大豆に変更する動きがみられた。

個々の調査対象項目ごとのポイントは添付資料参照。

(注1)連邦公開市場委員会(FOMC)の開催に先立ち、年8回公表されており、銀行からの報告や、ビジネス関係者などの声を基にまとめたもの。

(注2)アイオワ、イリノイ北部、インディアナ北部、ウィスコンシン南部、ミシガン南部。

(星野香織)

(米国)

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