米海洋大気庁、2021年の世界のメタン排出増加量は過去最高との見通しを報告

(米国)

ニューヨーク発

2022年04月11日

米国海洋大気局(NOAA)は4月7日、2021年の世界のメタンガス排出増加量は過去最高の見通しとするレポートを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。メタンガスは温室効果ガス(GHG)の1つで、米国のGHGに占めるメタンガスの割合は約10%にとどまるものの、二酸化炭素(CO2)の約25倍の温室効果があるとされており、温暖化効果は相対的に大きいことで知られている。

発表によると、2021年における大気中のメタン濃度の増加量は17ppb(注)で、2020年の増加量である15.3ppbを上回り、1983年からの測定開始以来で最大となった。また、人類の活動を通じた2021年中のメタン総排出量は約6億4,000万トンだった。さらには、2021年における大気中に含まれるメタン濃度は平均1,895.7ppbで、これは産業革命前のレベルよりも約162%高く、1984年から2006年までの期間平均よりも15%高いと推定されるとしている。NOAAは、温暖化防止の観点から「世界の排出量が急速に誤った方向に進んでいる」と警鐘を鳴らすとともに、「メタンガスは対流圏オゾンの形成にも寄与しており、これにより世界中で毎年およそ50万人の早期の死を引き起こしていることを忘れてはいけない」として、メタンガス排出削減の重要性を訴えた。

2021年11月に開かれた国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)では、米国はじめ、EUや日本など100以上の国が、2030年までにメタンガス排出量を2020年比で少なくとも30%削減することで合意している(2021年9月21日記事参照)。メタンガス排出量のうち、石油や天然ガス生産・使用からの漏出などのエネルギー部門、ならびに家畜の消化管内発酵(いわゆるゲップ)などの農業部門がそれぞれ約4割を占めており、今後は両部門を中心とする削減努力が必須だ。しかし、前者の石油や天然ガス生産・使用については、ウクライナ情勢によるロシアからのエネルギー禁輸措置の不足分を補うために、短期的には世界的に増産が見込まれることに加え、後者についても同じくウクライナ情勢から食料品全般の価格が世界的に上昇しており、畜産の積極的な生産が今後行われていけばメタンガスの増加につながる恐れもある。米国主導で交わされた同メタンガス削減合意だが、足元での削減は思ったように進まない状況が続きそうだ。

(注)ppbは、大気中の分子10億個中にある対象物質の個数を表す単位。

(宮野慶太)

(米国)

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