米フェデックス、自律型eVTOLでのミドルマイル配送の実証実験を計画
(米国)
アトランタ発
2022年04月12日
米国物流大手のフェデックス・エクスプレス(本社:テネシー州)は3月30日、自律型の電動垂直離着陸機(eVTOL)を開発するエルロイ・エア(本社:カリフォルニア州)と提携し、2023年にミドルマイル配送の実証実験を計画していると発表した。「ラストマイル(ラストワンマイル)」と呼ばれる配送の最終拠点からユーザー指定の届け先までの配送区分に対し、「ミドルマイル」はその前の配送拠点(倉庫など)間の移動を意味する。ミドルマイル配送は、決まった拠点間を往復移動するため、ラストマイルに比べて効率化の余地が大きいと言われている。
実験に用いられるのは、エルロイ・エアが2022年1月に発表した自律型eVTOL「シャパラル」。シャパラルは着陸や貨物の積み込み、再離陸を全てわずか数分で、オペレーターの介入なしに行い、最大300マイル(約483キロ)まで運ぶことができる。積載重量は300~500ポンド(約136~227キログラム)のため、幅広い地域へのミドルマイル配送を可能にする。
ラストマイル配送に関しては、フェデックスは2019年10月から米アルファベット傘下のウイング・アビエーションと大手ドラッグストアのウォルグリーンと提携し、バージニア州クリスチャンズバーグでドローン宅配の実証実験を開始。一定条件を満たす配達指定圏内の居住者は希望すればウォルグリーンの販売する医薬品などをドローンで受け取ることができ、フェデックスは「ラストマイルの配送サービスの改善、医薬品へのアクセスを向上し、地域のビジネスに対する新たな成長分野を育成する方法の探求によって、ドローン配送が社会に多くの恩恵をもたらすことを実証する」と説明していた。
今回のミドルマイル配送の実証実験はフェデックスにとって初の試みとなる。同社は背景について、電子商取引(EC)市場の急激な成長により、サプライチェーンのあらゆる段階で信頼性が高く効率的な輸送・物流ソリューションへの需要が増加していると説明。同社のグローバルプランニング、エンジニアリング、テクノロジー担当シニアバイスプレジデントのジョー・スティーブンズ氏は「フェデックスはイノベーションの上に築かれた企業だ。安全性と効率性、顧客サービスの向上を通じて物流業界の強化に貢献できるよう、常に新しい技術に目を向けている」と述べている。
(高橋卓也)
(米国)
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