世界銀行、一次産品価格見通し発表、2022年ピークに下落も2024年まで高止まり

(世界)

国際経済課

2022年04月27日

世界銀行は4月26日、「一次産品市場の見通し」〔プレスリリース(英語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます日本語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)〕を発表した。2022年のエネルギー価格指数は前年比50.5%増の143.6、農産物などの非エネルギー価格指数は同19.2%増の133.5との見通しを示した。いずれの価格指数も、2022年をピークに2023年、2024年は段階的に下落する見通しだが、それでも「過去5年間の平均水準を大幅に上回る」としている。

エネルギーの中では、2022年の欧州の天然ガス価格が1mmbtu(100万英熱量単位)当たり34.0米ドルと、前年比2.1倍の最大の増加幅となる見通し(添付資料表参照)。2022年のオーストラリアの石炭価格が1メトリックトン当たり250.0米ドルの同81.1%増と続く。いずれの価格も「史上最高値を更新する」との予測だ。世界銀行はこれらの2022年の価格上昇について、「ロシアのウクライナ侵攻と、関連する制裁および政策によるエネルギー供給の混乱を反映した」とした。

その他のエネルギーのうち、2022年のブレント原油価格は1バレル当たり100.0米ドルの前年比42.0%増。ウクライナ情勢による貿易と生産の混乱により、価格が上昇すると見通す。2023年には同92.0米ドルに下がるが、「2016年~2021年平均水準(60ドル)を上回る」。価格の高止まりは「ロシアからの輸出の著しい減少に加え、足元の価格上昇にもかかわらず先進国・地域での石油消費が継続的に増加していることを反映した」と説明した。

今回の報告書では、ウクライナ紛争による一次産品価格への影響について、過去の同様の混乱との比較を分析した。(1)エネルギー全体の価格が上昇していることから、現在最も大きな影響下にあるエネルギーに代わる選択余地が限られていること、(2)一部の商品価格の上昇が他の商品価格上昇を引き起こしていることなどから、今回の紛争の影響が過去の事例と比べて長期化する可能性を指摘した。

また、今回の情勢がインフレーションを長期化させるよりコスト高な貿易を誘発している点についても言及。一部の国がより遠隔な地域からの石炭調達を試みているように、とりわけエネルギー分野での貿易で、大きな転換が起こる可能性を示した。

(注1)本文における価格指数(2010年=100)、価格は、ともに名目値。

(注2)本文における数値は、報告書(英文PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))から引用した。

(朝倉啓介)

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