米ウーバーがサンフランシスコでタクシー会社と協業、2025年までに全世界のタクシーとの連携を目指す
(米国)
サンフランシスコ発
2022年04月12日
米国大手ライドシェアのウーバー・テクノロジーズ(本社:カリフォルニア州サンフランシスコ、以下、ウーバー)は4月5日、サンフランシスコ市内を走行するタクシーが、ウーバーのアプリから配車を希望する顧客にもサービス提供できるよう、タクシー会社などと業務提携を結んだことが、現地メディアの報道で明らかになった(「サンフランシスコ・クロニクル」紙電子版4月5日)。同社との提携に合意したのは、タクシー会社イエロー・キャブ・サンフランシスコとタクシー専門の配車サービスアプリを運営するフライウィール・テクノロジーズ(以下、フライウィール)。
今回のウーバーとタクシーの協業は、サンフランシスコ市営交通局(SFMTA)による、タクシーの一律事前払い料金を試験的に許可するプログラムにより実現したもので、2022年8月5日までに開始する。フライウィールのプレスリリースによれば、同社とウーバーとのパートナーシップはサンフランシスコ市内で開始した後、その他の都市でも展開する予定だ。タクシー業界は、近年のライドシェア企業の躍進や、新型コロナウイルス感染拡大の影響による、乗客数減少の打撃を受けており、今回、ウーバーとの提携によって乗客数増加を狙う。タクシー運転手は、ウーバーからの配車リクエストを受けるかどうかを自身で決めることができる。
他方、ウーバーも「新型コロナ禍」による自社コントラクター(ドライバー)の減少からの回復が低調ななか、タクシーを同社アプリから呼べる車両に組み込むことは、ウーバーにとっても利点がある。今回のパートナーシップによって、サンフランシスコでウーバーに追加されるタクシー車両は1,000台以上になる。しかし、今回のパートナーシップ締結は、一時的なドライバー確保にとどまらない、同社のより大きなビジョンの一部のようだ。ライドシェア・サービスの台頭後も、タクシー市場は全世界で1,200億ドル、車両台数は2,000万台の規模を誇る。これは、新型コロナウイルス感染拡大前の同社モビリティ・ビジネス規模の2倍以上、同社を通じた稼働車両台数の5倍以上に当たることから、同社は2025年までに、全てのタクシーをウーバーアプリにつなげることを目標に掲げている。なお、同社は2022年3月、ニューヨークでもタクシー配車アプリを提供するクリエイティブ・モバイル・テクノロジーズ(CMT)と同様のパートナーシップを締結している。
(田中三保子)
(米国)
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