中国企業、約8割が「一帯一路」沿線諸国を最優先の投資先と回答

(中国)

広州発

2022年04月12日

中国国際貿易促進委員会(以下、CCPIT)は3月31日、「中国企業の対外投資の現状と意向に関わる調査報告(2021年版)」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(以下、報告)を発表した。CCPITが開催する展示会など各種イベントの参加企業に対し、毎年、アンケート調査を実施し、結果を取りまとめているもの。2021年版の調査は2021年5~10月に実施し、有効回答数は1,013社、うち対外投資を行っている企業は563社(構成比は55.6%)だった。主な調査結果は以下のとおり。

(1)対外投資の主な目的(複数回答可の設問)

1位は「海外市場の開拓」で回答率69.3%(前年調査結果から5.6ポイント低下)、2位は「ブランドの国際的知名度の向上」で36.8%(4.1ポイント上昇)、3位は「生産コスト削減」で32.1%(9.9ポイント上昇)だった。

(2)優先的に対外投資を実施(または検討)する国・地域(複数回答可の設問)

1位は「『一帯一路』沿線諸国」で回答割合は79.5%に上った。業種別にみると、「『一帯一路』沿線諸国」を最優先の投資先と回答する割合は、宿泊・飲食業を除くその他全ての業種で1位となった。また、2位は「北米」で25.5%、3位は「アフリカ」で21.8%となった。なお、「日本または韓国(同一選択肢)」と回答した割合は14.9%で、業種別では計装業が50.0%と地域別で最も高かった。

(3)「双循環」(注)の新たな発展局面における対外投資の実施(または検討)への影響(複数回答可の設問)

対外投資の実施(または検討)について、「現状維持する」との回答が57.0%と最も高かった。次いで、「縮小する」が25.6%、「拡大する」が22.8%だった。投資を縮小する場合、「国内へ投資」と回答した企業が58.0%に上り、「第三国(地域)へ移転」と回答した企業は16.7%だった。

CCPIT研究院の劉英奎副院長は、優先的に対外投資を実施する国で「一帯一路」沿線諸国の回答割合が最も高かったことについて、「『一帯一路』沿線諸国は次々と中国企業に友好的な姿勢を示した。多くの『一帯一路』沿線諸国は近年、発展を急ぐべく開放的な政策を実施し、積極的に外資を誘致している。外資に対する制限的措置が相対的に少なく、中国企業の投資に大きな可能性を与えている。他方、一部の欧米諸国は特定産業における対外投資に対して極めて厳しい外資審査を行っている」と述べた(「21世紀経済報道」2022年4月2日)。

(注)「双循環」は、2020年4月の中国共産党中央経済委員会第7回会議で習近平総書記(国家主席)が「国内大循環を主体とし、国内と国際の2つの循環が相互に促進する新たな発展局面」として提起したとされる。同年10月に採択された「第14次5カ年(2021~2025年)規画と2035年までの長期目標」では、「双循環」は「内需と外需、輸入と輸出、対内投資と対外投資の協調的発展により、国際協力・競争の新たな優位性を育成する」とされている。

(梁梓園)

(中国)

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