政策金利の据え置き決定、経済見通しは下方修正

(タイ)

バンコク発

2022年04月01日

タイ中央銀行(BOT)は3月30日、金融政策委員会を開催し、政策金利を現状の0.50%に据え置くと全会一致で決定PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。政策金利の据え置きは15会合連続となった。

BOTの発表によると、エネルギー価格の上昇や外需の減速など、ロシアに対する各国の経済制裁などによる影響はあるが、それでも、2022~2023年のタイ経済は大きな影響を受けないとの予測を示した。また、2022年通期のインフレ率は目標のレンジを超えて上昇するものの、エネルギーや食料品の価格が安定することで、2023年初頭には低下、目標レンジ内に戻ると予想している。最近のインフレ上昇は主に生産コスト上昇などの「コストプッシュインフレ」によるものと認識した上で、タイの景気を下支えるべく、現在の低金利政策を継続、政策金利の据え置きを決定した(注)。

BOTは今後の経済見通しも併せて公表。2022年のGDP成長率予測は2021年12月時点での3.4%から3.2%に、2023年のGDP成長率予測を4.7%から4.4%に下方修正した。内需や観光産業の業況感が改善し、新型コロナウイルスのオミクロン型変異株の影響も徐々に小さくなるとの予測に基づくもの。また、ロシアに対する各国の経済制裁は製品コストを押し上げるものの、タイにおける全体的な経済回復基調を大幅に修正するものではないとした。

他方、特定業種での原材料の長期的な不足や、低所得者の生活費の上昇、企業の生産コスト上昇が経済の下振れリスクとなる懸念があるとした。中銀は、必要に応じたさらなる金融緩和の実行可能性についても言及している。

(注)コストプッシュインフレには、生産コストの上昇のほか、原材料や資源価格の上昇、賃金の高騰などがある。

(岡本泰)

(タイ)

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