繊維廃棄物のリサイクルやグリーン設計を推進

(中国)

上海発

2022年04月15日

中国の国家発展改革委員会と商務部、工業信息化部は4月11日、「繊維廃棄物のリサイクル推進の加速に関する実施意見外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(発改環資〔2022〕526号)を発表した(文書は3月31日付)。実施意見によると、中国は世界第1位の繊維産業大国であり、繊維加工量は世界の50%以上を占め、1人当たりの繊維消費量も絶えず増加し、毎年大量の繊維廃棄物を発生させているという。その上で実施意見は、繊維廃棄物のリサイクルは資源節約や汚染減少、炭素排出削減に重要な意義を有し、繊維産業の原料供給を補う上でも有効で、資源環境の制約を緩和する重要な措置であるほか、健全なグリーン低炭素循環発展経済システムの確立に向けても重要との認識を示した。

実施意見が提示した主な目標は以下のとおり。

  • 2025年までに繊維廃棄物リサイクル能力を大幅に上昇させ、リサイクル率を25%、リサイクル繊維の生産量を200万トンとする。
  • 2030年までに生産者と消費者のリサイクル意識を顕著に高め、高付加価値的利用に向けた用途を発展させる。繊維廃棄物リサイクル率を30%、リサイクル繊維の生産量を300万トンとする。

また、繊維産業のグリーン低炭素生産を推進するとして、以下の取り組みを進める方針を示した。

  • 分解、分離、回収しやすいなど繊維製品のグリーン設計を推進。
  • 繊維企業によるグリーン繊維原料の使用を奨励し、グリーン製品の標準、認証、表示体系の構築を強化するなど、グリーン繊維の利用を奨励。
  • 企業が中国繊維服装企業の社会責任管理システム(CSC 9000T、注)を実施することを奨励し、繊維製品生産者の社会的責任を強化。

このほか、リサイクル繊維の総合的な利用促進については、建築材料や自動車の内外装、農業、環境改善などの分野での利用推進や、軍服、警察服、制服などの繊維廃棄物をリサイクル利用の突破口としたグリーン設計の推進、グリーン繊維の使用を推進するとしている。

カーボンニュートラルに向けた対策は、産業、交通、エネルギー分野だけでなく、国民の意識やライフスタイルの変化も重要となる。身近な繊維製品についてもリサイクルを推進することで、国民の意識の変化を促すことができるか注目される。

(注)中国繊維工業協会が2005年に策定した、繊維服飾業界を対象とするCSR規格。

(高橋大輔)

(中国)

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