10月の大統領選に向け、ルーラ元大統領が支持基盤拡大へ過去の政敵に接近

(ブラジル)

サンパウロ発

2022年04月18日

ブラジル社会党(PSB)は4月8日、労働者党(PT)所属のルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ元大統領が10月2日に投票される大統領選挙(注1)の候補として立候補した場合、副大統領候補としてジェラウド・アルキミン氏を推薦すると、同党の公式サイトで正式に発表した。労働者党のグレイシ・ホフマン党首は同日、ブラジル社会党の協力に謝意を表しつつ、「労働者党としてアルキミン氏を副大統領候補として受け入れるかどうかの審議に移す」と説明した。

両氏が大統領選挙に向けて協力する可能性は、これまでも多くの現地メディアが報じていたが、この度、両党が公式に発表した。ルーラ氏は3月に実施された世論調査で首位だった(2022年4月1日記事参照)。両氏の協力は支持基盤の拡大に向けたものとみられる。アルキミン氏はサンパウロ州知事などを歴任しており、特に都市部での知名度が高い(注2)。両氏は2006年の大統領選の決選投票で争い、ルーラ氏が勝利している。

上述の世論調査を見ると、「大統領選挙での(有権者の)投票意向」でルーラ氏の支持率は過半数には達していない。ただ、ルーラ氏が中道寄りのアルキミン氏を味方につけることで、同氏の支持基盤であるアグリビジネスを中心とした企業家などの支持を集めることにつながると、4月8日付現地紙「グローボ」は分析している。現在、ブラジル下院の全513議席のうち、労働者党が56議席、社会党が22議席。現職のジャイール・ボルソナーロ大統領が所属する自由党(PL)は77議席となっている。

(注1)大統領選挙は4年に1度行われる。前回は2018年に実施。今回は第1回投票で最多得票者の票数が過半数に達しない場合、10月30日に上位2人による決選投票で大統領を選出する。

(注2)アルキミン氏は2001年から2006年までサンパウロ州知事。同氏は2006年の大統領選に立候補した際はブラジル社会民主党(PSDB)に所属していた。

(古木勇生)

(ブラジル)

ビジネス短信 6784b80d80825e9e