英政府、ロシアに対する追加制裁を発表

(英国、ウクライナ、ロシア、インド)

ロンドン発

2022年04月01日

英国政府は3月30日と31日、ロシアによるウクライナ侵攻に伴う新たな制裁や制裁対象の拡大を相次ぎ発表した(30日付政府プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます31日付政府プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

30日には、制裁対象となっているロシアの新興財閥(オリガルヒ)やその企業が所有する航空機、船舶に対するメンテナンスを行うことを禁止する法的権限を導入する旨を発表。また、現在クリミア地域に課されている金融、貿易、港湾に対する制裁を「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」に拡大した。

31日には、エリザベス・トラス外務・英連邦・開発相が、制裁の対象を拡大し、新たに14の個人・機関を対象に追加して英国内の保有資産を凍結(個人については英国への渡航も禁止)すると発表した。今回の対象は、主にロシア政権を宣伝する個人や機関。この中にはロシア政府メディアも含まれており、ニュースチャンネルロシア・トゥデー(RT)を所有するTVノーボスチや、通信社スプートニクを管理するロシア・セボドニャが新たに対象となった。ロシアの戦略文化基金の7人の個人については、オーストラリアが制裁対象に加えたことを踏まえ、緊急指名手続きに基づき対象に加えたとした。3月15日に成立した経済犯罪(透明性と執行)法PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)では、米国、EU、オーストラリア、カナダなど同盟国が制裁対象とする個人につき、通常の制裁手続きで必要な「適正性」テストを不要とし、迅速に対象へと追加できることが規定されており、7人はその規定に基づいて対象とされた。

トラス外相は3月31日に、インドでスブラマンヤム・ジャイシャンカール外相と会談外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。会談に当たりトラス外相は、ウクライナ侵攻に対して民主主義国家が緊密に連携し、ロシアの抑止、国際安全保障の強化などに取り組むことの重要性を強調する、とした。トラス外相は、両国の関係深化はインド太平洋地域の安全保障強化につながり、ロシアの侵攻という文脈では深化がさらに重要になるとし、特に防衛、貿易、サイバーセキュリティ分野での協力強化に向けて取り組むとした。

(山田恭之)

(英国、ウクライナ、ロシア、インド)

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