新エネ車の値上げが相次ぐも、販売台数への影響は限定的との見方

(中国)

上海発

2022年04月08日

中国の新エネルギー自動車各社では、新車販売価格の値上げが相次いでいる。自動車大手のBYDは3月15日、原材料価格の大幅な上昇を理由に、新エネルギー車の価格を3,000~6,000元(約5万7,000~11万4,000円、1元=約19円)値上げすると発表した。新興電気自動車(EV)メーカーの小鵬汽車も3月18日、原材料価格の持続的かつ大幅な上昇を理由として、1万100~2万元の値上げを発表した。3月23日には上海通用五菱汽車も、原材料価格の大幅な上昇など総合的な要因により、小型EVの宏光MINIなどを4,000~8,000元値上げすると発表した。このほか、テスラは3月中だけで、3回の値上げを行ったとの報道もある(「新浪財経」3月31日)。

中国乗用車市場信息聯席会(CPCA)は3月24日、3月の乗用車販売台数予測を前年同月比10.4%減の158万台と発表した。CPCAは、新型コロナウイルスの感染拡大が各地で発生し、20を超える都市で、全域あるいは一部地域での感染防止措置が取られているため、自動車の生産と販売に大きな影響が及んでいると指摘。これらの影響による月間の販売台数の減少幅は20万台程度に達していると試算した。他方、新エネルギー車に関しては、リチウムイオン電池の原材料価格の上昇により、一部の大手メーカーが販売価格を値上げしたが、小売り段階の現況をみると、販売台数はまだ明らかな影響を受けていないとの見方を示した。また、3月の新エネルギー車の販売は前年同月比2倍以上の増加を維持し、市場への浸透率(自動車販売に占める新エネルギー車の比率)は過去最高に達すると見通している。

なお、2022年2月の中国の新エネルギー車販売台数は前年同月比約2.8倍の33万4,000台で、自動車販売台数全体に占める割合は19.2%に達している(2022年3月16日記事参照)。

(高橋大輔)

(中国)

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