中国の輸入相手先首位は2年連続で台湾、半導体が牽引

(中国、台湾、米国)

中国北アジア課

2022年04月06日

2021年の中国の対台湾輸入について、ジェトロがグローバル・トレード・アトラスを基にまとめたところ、中国の輸入相手国・地域で台湾が2年連続1位となった。中国は台湾から半導体を含めた電子部品を大量に輸入しているため、中台間の貿易は構造的に中国の貿易赤字となっているが、2020年、2021年は特に輸入の伸びが著しい。

2021年の中国の対台湾輸入額は24.5%増の2,514億6,050万ドル、輸出額は前年比30.3%増の783億8,431万ドル、貿易収支は1,730億7,618万ドルの赤字となり、いずれも過去最高だった(添付資料図1参照)。

中国の貿易相手先を国・地域別にみると、台湾は輸出額では第11位だが、輸入額では第1位に位置する。台湾は2020年に韓国を逆転して1位となり、2年連続で中国の最大の輸入相手先となった。

輸入の過半占める半導体が牽引、汎用ロジックICが主力

中国の対台湾輸入を品目別にHSコード4桁ベースで輸入額上位10品目をみると、1位は集積回路(半導体、8542)で、前年比24.7%増の1,561億ドルとなり、全体の62.1%を占めた(添付資料表参照)。

中国の半導体(8542)の輸入相手先をみると、台湾が1位(半導体輸入に占めるシェア35.9%)、韓国が2位(20.3%)で、2カ国・地域の合計で半導体輸入額の56%を占める。2012年~2018年は台湾からの半導体輸入額は韓国の1.2~1.5倍で推移していたが、2019年以降はその差が拡大し、2021年には韓国の1.8倍となった(添付資料図2参照)。半導体の種類は多岐に渡るが、台湾から輸入する半導体は演算処理に使われるロジックICが中心、韓国から輸入する半導体は記憶処理に使われるメモリーICが中心だ。ロジックICはスマートフォンやPC、ルーターなどのデジタル製品のほか、車載用にも使用され、これらの製品の需要増に伴い、台湾からの半導体輸入の伸びが顕著になっている。

米国は、中国の半導体関連企業に対して制裁措置を発動しており、華為技術(ファーウェイ)や半導体製造大手の中芯国際集成電路製造(SMIC)などをエンティティー・リスト(EL)に追加している。ファーウェイについては、2020年9月以降は外国製の半導体でも、米国の製造装置や設計ソフトを使っていれば、ファーウェイへの輸出を禁じており(2020年8月18日記事参照)、その結果、ファーウェイは台湾積体電路製造(TSMC)からの調達が難しくなっている。SMICについては、回路線幅が10ナノ(10億分の1)メートル以下の半導体を製造するのに必要な米国製品の同社への輸出・再輸出・国内移送は原則不許可とされた(2020年12月23日記事参照)。

上述の制裁措置にもかかわらず、半導体の輸入が伸びているのは、米国の規制は主に先端半導体を対象としているためだ。需要の高まるロジックICの中でも、規制対象外の汎用(はんよう)半導体の輸入が伸びていることがうかがえる。

2022年1~2月の中国の輸入統計でも、台湾からの輸入額は前年比19.8%増の400億790万ドルと、引き続き中国の輸入相手先として1位となっている。主力の台湾からの半導体(8542)の輸入は前年同期比29.5%増の261億3,659万ドルと、引き続き高い伸びをみせている。半導体の輸入が牽引し台湾が中国にとって最大の輸入相手先となる構図はしばらく続きそうだ。

(江田真由美)

(中国、台湾、米国)

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