新内閣が誕生、抗議活動も各地で続く

(スリランカ)

コロンボ発

2022年04月26日

スリランカで4月18日、新たな内閣が発足した。ゴタバヤ・ラージャパクサ大統領が任命した17人の閣僚が大統領官邸で就任式に臨み(添付資料参照)、続けて国務担当相21人も任命された。ゴタバヤ大統領は就任式で、多くの政府機関は財政難に苦しんでいるとして、全閣僚に真摯(しんし)に、効率的かつクリーンなガバナンスを実行するように求めた。

前内閣に関しては、3月末に始まった国民の広範な反政府の抗議活動を背景に、4月3日にマヒンダ首相を除く26人の閣僚が総辞職していた(2022年4月12日記事参照)。ゴタバヤ大統領は再組閣に先行して外務相、財務相、教育相、高速道路相(その後、高速道路相は解任)を任命していたが、その他の空いたポストを埋めることが急務となっていた。

新内閣の顔ぶれは、前内閣から続投・再任された大臣も複数含まれる。大きな変化は、ゴタバヤ大統領(国防相を兼務)とマヒンダ首相を除き、ラージャパクサ一族のメンバーが閣僚ポストから一切手を引いたことだ。ただし、最大野党の統一人民戦線(SJB)は新内閣組閣後すぐに、新たな内閣は受け入れられないとの姿勢を示し、「同じような顔触れをリシャッフルしたたけでは、有効性はなく、国民は納得しないだろう。大統領の退陣を望む」として、内閣不信任案の準備を進めている。

一方、食料やガソリン、ディーゼル燃料の不足・価格高騰から、政府に不満を募らせている国民は全土で政府に対する抗議活動を続けている。4月19日にはコロンボ中心街から約100キロ離れたランブッカナ市で、抗議活動を発端とした市民と警察の衝突から、警察が発砲し、市民に死者が出る事態となっている。大統領退陣を叫ぶ国民とデモの沈静化を図りたい政府の間で緊張が高まっている。

(糸長真知、ラクナー・ワーサラゲ)

(スリランカ)

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