残業上限を月間60時間に緩和、急な増産や人手不足に対応

(ベトナム)

ハノイ発

2022年04月05日

ベトナム国会常任委員会は3月31日、残業時間の上限規制を緩和する決議(17/2022/UBTVQH15、3月23日付)を公表した。新型コロナウイルス感染の流行で影響を受けた社会経済の回復を目的とし、2022年の残業上限を年間300時間、月間60時間に引き上げた。

同決議によると、雇用主は従業員の同意を得た上で、省・市の人民委員会に属する労働管轄機関に書面で通知すれば、業種に限らず、残業時間の年間上限を現行の200時間から300時間まで引き上げられる。ただし、18歳未満や障害のある労働者、危険な業務に従事する人、妊娠7カ月目以降(作業場所によっては6カ月目以降)もしくは12カ月未満の子供を養育中の女性労働者は、残業延長の適用外となる。

年間上限の引き上げを適用する場合、同様に従業員の同意を得られれば、月間の上限を現行の40時間から60時間に引き上げることができる。この措置は4月1日から2022年末まで適用される。2023年以降の適用については、10月ごろに開催される国会で検討される見込みだ。

労働・傷病兵・社会問題省のダオ・ゴ​​ック・ズン大臣は3月23日の国会常任委員会の検討会で、残業上限引き上げの提案は労働者と企業の双方のニーズに基づいていると説明した。現状は企業と労働者が暗黙の協議の下で残業をする事例がみられるなど、労働者の権利が保障されない事態が危惧されているという。また、企業は残業時間の上限が引き上げられたことで、製品の一時的な増産、新型コロナウイルス感染に伴う人手不足などへの対応がしやすくなる。

決議に当たっては、産業界の声を踏まえ、月間残業上限を72時間に引き上げる案もあったが、労働者の健康や労働安全を確保するため、60時間への変更にとどまった。また、年間の残業上限は、現行の法令によって繊維、縫製、皮革、靴、電気、電子製品の輸出向け製造などの業種では、既に300時間まで認められていた。そのため、産業界からは年間400時間への引き上げなど、さらなる緩和を求める声も上がっていたが、認められなかった。

(庄浩充)

(ベトナム)

ビジネス短信 2270c3759a1bf3a7

ご質問・お問い合わせ

記事に関するお問い合わせ

ジェトロ海外調査企画課
E-mail:j-tanshin@jetro.go.jp

ビジネス短信の詳細検索等のご利用について

ジェトロ・メンバーズ

メンバーズ・サービスデスク(会員サービス班)
E-mail:jmember@jetro.go.jp