カザフスタン進出のロシア系銀行、金融制裁により事業継続困難に

(カザフスタン、ロシア、ウクライナ、ベラルーシ)

タシケント発

2022年04月22日

ロシアのウクライナ侵攻に対する西側の金融制裁が強化される中、カザフスタン国内のロシア系金融機関は事業継続が困難な状況に陥っている。

4月6日に発表された米国政府による追加制裁(2022年4月7日記事参照)の対象となったロシア最大の国有銀行ズベルバンク、ならびに大手民間銀行のアルファバンクのカザフスタン子会社は、連日、対応に追われている。

同制裁後、両行では現地通貨テンゲとルーブル建ての一般業務は継続されているが、ドル、ユーロ送金とビザ、マスターカードによる決済が停止されるなど影響が出ており、預金の取り付けや他行への口座移転など顧客離れが続いている。ズベルバンクは、保有ローンポートフォリオの25%(3,300億テンゲ相当、1テンゲ=0.28円換算で924億円)を地元のハリク銀行に売却(インフォームビューロー4月13日)。アルファバンクも1,000億テンゲ相当のローンポートフォリオを他行に売却し、資金を捻出している。制裁発動期日が5月に迫るアルファバンクは身売り交渉を急いでおり、地元のフリーダム・ファイナンス銀行などが名乗りをあげているが、取引には米国財務省外国資産管理局(OFAC)の承認が必要となり、期日までの実現は難しいとみられている(フォーブス・カザフスタン4月12日)。

金融市場への影響について、金融市場規制発展庁は4月8日、カザフスタン金融市場におけるロシア系銀行のシェアは15%を占める一方、国内金融機関の資産規模は37兆8,000億テンゲで、流動資金は16兆テンゲ(42.3%)と流動性を確保しており、外部ショックに十分耐えられる水準というコメントを発表している。

ロシア系金融機関がカザフスタンから撤退する動きを加速させる中で、反対にカザフスタン国内金融機関で口座開設をするために訪れるロシアやベラルーシ国籍者が増えている。金融市場規制発展庁の発表(4月8日付)によると、2月24日以降、これら国籍者による新規口座開設数は1万1,940件、うち1,215件はオンライン開設だった。

(増島繁延)

(カザフスタン、ロシア、ウクライナ、ベラルーシ)

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