展示会場に仮設病院を設置、展示会は延期後の開催日程の見通し立たず

(中国)

広州発

2022年04月20日

中国・広東省の広州市衛生健康委員会は4月18日、同市で4月8日から18日午後3時までに確認された新型コロナウイルスの新規感染者(無症状感染者を含む)を224人と発表した。

新型コロナウイルス感染を踏まえ、中国政府は各地域の政府に対し、仮設病院の確保を求めている。国務院の新型コロナウイルス防疫メカニズムは3月22日の記者会見で、軽症者と無症状感染者の収容先を確保すべく、各省に少なくとも2~3カ所の仮設病院を設置するよう求めていることを明らかにしていた。

各地域政府も、仮設病院設置に向けた取り組みを進めている。上海市では、中国国際輸入博覧会が開催されてきた国家会展中心など、市内の主要展示会場が隔離施設として利用されている(2022年4月11日記事参照)。広東省では、広州交易会や中小企業博覧会が開催されてきた琶洲国際会展中心(約3,450床)で仮設病院を設置中(2022年4月13日記事参照)。海南省では、中国国際消費品博覧会が開催されてきた海南国際展示会センター(約2,000床)で仮設病院の設置が進められている。感染者の収用が予定されるのは6、7号館で、うち7号館は4月11日時点で基本的な設備の設置が完了したとされる(「海南日報」4月12日)。

このほか、チベット自治区のラサ市、江蘇省南京市など大規模な集団感染が発生していない都市でも、仮設病院の設置が進められている。中国政府は「動態(ダイナミック)ゼロコロナ」政策(注)を堅持する中、各地域においてこれら仮設病院が常設化されていく可能性がある。

なお、感染拡大を受けて、広州市では、5月9日から開催予定だった国際マタニティ・ベビー・キッズ製品博覧会(会場:琶洲国際会展中心)などが、海南省海口市では4月12日から開催予定だった中国国際消費品博覧会(会場:海南国際展示会センター)などが延期になっている。いずれも展示会場が仮設病院として利用されており、延期後の開催日程の見通しが立たない状況だ。

(注)中国政府や対策に携わる専門家の説明によると、「動態(ダイナミック)ゼロコロナ」とは、国内の「感染者の発生をゼロにする」ものではなく、感染者の能動的かつ迅速な発見を行い、感染者に対して速やかに疫学的調査、診断、隔離、治療をして、社区(コミュニティー)内で持続的に感染が広がることを防ぐという防疫戦略とされている

(梁梓園)

(中国)

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