トラス外相、インドネシアとのパートナーシップ・ロードマップに合意

英国のエリザベス・トラス外務・英連邦・開発相は4月19日、インドネシアのレトノ・レスタリ・プリアンサリ・マルスディ外相とロンドンで会談を行い、「パートナーシップ・ロードマップ」に合意した。同ロードマップを通じ、貿易・投資、テロ対策、サイバーセキュリティなどの分野で緊密な連携を約束するほか、「自由で開かれたインド太平洋」を支援する。主な合意内容は以下のとおり。

（1）貿易・投資・経済協力

• 2月に共催した合同経済貿易委員会（JETCO）のフォローアップ（2022年3月1日記事参照）。
• JETCOメカニズムの下での自由貿易協定（FTA）締結の可能性に向け議論を開始。
• 持続可能なインフラ案件の実行、上流・下流産業、低炭素産業、EV（電気自動車）、グリーン技術の支援のため、両国の金融機関、企業などが関わる投資協力の促進に向け連携を強化。バッテリー生産などを含む電動モビリティのエコシステムの発展に向けた企業間での議論を促進。
• インドネシアでのICT（情報通信技術）インフラ開発やデジタルトランスフォーメーション（DX）の支援に向け協力を強化。

（2）防衛・安全保障・政治協力

• 地域の平和と安定の確保に向け、2国間の関係強化を約束。
• サイバー分野で合意した、サイバーセキュリティの問題や技術開発などにつき対話を継続し意見交換。

（3）気候変動・低炭素・持続可能な発展

• インドネシアの国家中期・長期開発計画の開発支援のため連携。
• 炭素市場・取引の分野で協力を強化。
• 電力、輸送部門のクリーンエネルギー移行に関し協力を強化。
• 低炭素エネルギー投資支援のためのグリーンファイナンス動員。

（4）研究開発、ライフサイエンス、医療、教育

• 科学、技術分野での研究開発パートナーシップの新設または既存パートナーシップの深化。
• ワクチン、治療法、診断法の早期開発と導入実現に向けて連携して支援、活動。
• 病原体のゲノム配列決定分野における協力強化。

（5）対外、多国間、地域協力

• ASEANのインド太平洋構想の原則と目的を、地域または2国間のパートナーシップにおいて推進するため協力。
• 両国が共有するコミットメントである、国際法と法に基づく国際システムの促進の強化。
• インドネシアが議長国を務めるG20の成功に向け協力を促進。

トラス外相は「（インドネシアとの）深い結びつきは英国の人々に雇用や機会を創出すると同時に、開かれ、安全かつ繁栄したインド太平洋を確実にする、互恵的なものとなる」と述べた。

（山田恭之）